2008 Fiscal Year Annual Research Report
「戦後」の「記憶」を問い直す-アジア・ポストコロニアリズム・ジェンダー-
Project/Area Number |
18530413
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Research Institution | Keisen University |
Principal Investigator |
李 省展 Keisen University, 人文学部, 教授 (10279664)
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Keywords | アジア / ポストコロニアリズム / ジェンダー / ナショナリズム / 記憶 / 戦後 / 在日 |
Research Abstract |
本年度は研究の最終年度にあたり、研究代表者と連携研究者・研究協力者計9名は、まずこの研究課題を各自の専門分野において深化させ、具体的な成果としてまとめることに力を注いだ。「戦後」において、アジア・太平洋戦争と植民地支配にまつわるどのような「記憶」が人の生活に根づいたか、そこにどのような理由でどのようなバイアスがかけられているかというテーマについて、歴史・国際政治・教育・法学・文学等の分野で形にしたものは、実際には裏面の業績の約2倍に相当する。 また、当初の計画通り、この研究活動を活字以外の方法で公表し、アカデミズムの枠を越えて発信することをめざし、HPを開設した。補助金による研究活動は終了するが、これらの成果公表によって、問題意識をさらに広範な人々と共有することができると考えている。 最終年度の活動として、未来への展望ということにも重きをおいた。例えば沖縄での調査旅行では、64年前の戦跡を訪ねて地元研究者や体験者の話を聴き、その「記憶」の形成と変遷について考えるとともに、今後、複数の「記憶」をどのようにすりあわせ、分有の可能性を開いていけるかも考察した。 研究会の構成メンバーの専門が異なることに変わりはないが、3年間の活動をともにすることで、所謂「偏狭な」ナショナリズムの横行やマイノリティの忘却が「記憶」の分断によるものであるという認識を共有することができた。今後の各自の研究が、この認識の上にさらに深められることが期待される。
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Research Products
(10 results)