2007 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャルワーカー養成のための大学統合カリキュラムの開発
Project/Area Number |
18530469
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Research Institution | Hyogo University |
Principal Investigator |
BOO SungLai Hyogo University, 附属総合科学研究所, 客員研究員 (60299138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木林 友里夏 吉備国際大学, 社会福祉学部, 助教 (30309603)
前田 美也子 武庫川女子大学, 文学部, 准教授 (50309027)
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Keywords | 社会福祉教育 / カリキュラム / 実践理論 / ソーシャルワーカー / 学部プログラム / 総合化 / 専門職養成 |
Research Abstract |
平成19年度に改正された社会福祉士及び介護福祉士法に某づき、社会福祉士養成課程におけるカリキュラム改革が現在進められつつある。その意味で、本研究は時機を得た研究テーマであるといえる。そこで、さまざまなカリキュラムの見直し議論によって、旧カリキュラムのいかなる点が問題であったのかをあらためて整理し、学部レベルのソーシャルワーカー専門職養成にかかわるカリキュラム上の問題点を指摘した。代表研究者のSung Lai Booには、年度末には、本研究の成果の一部を発表・議論する場が与えられた。すなわち、社会福祉士養成課程を有する大学等の連合体である、社団法人日本社会福祉士養成校協会の関東甲信越ブロックの2007年度教職員研修会のスピーカーを依頼された.研修テーマは「初年次教育の実践と今後の課題」であったが、Booには「日本における実践を国際的な経験から考える」という題目依頼があり、発表資料を作成し、スピーチと質疑応答、意見交換の機会を持った。スピーチへの反応として、活発な議論が展開され、今後のソーシャルワーカー養成教育のあり方の方向性を示唆した。 また、国家資格についての議論が日本に先駆けて進められてきた韓国において、地域を基盤としたソーシャルワーカーの任務、役割、課題等を整理した上で、地域実践上のストレングスと限界等について現地調査を実施し、学会で報告した。研究対象はこれまでの実践研究交流から得られた大学、社会福祉機関、行政等である。また、学術研究協力体制を作り、教育理念や社会福祉学科設置目的の異なる4箇所の大学校(韓国では4年生大学を「大学校」と呼ぶ)の比較検討をおこなった。方法としては、文献研究、現地訪問調査、聞取り調査、電話インタビュー等である。 以上の調査を通じて明らかになったことは、以下の点である。まず、国立の大学校、私立の大学校という大きな分類に加え、私学特有の理念と地域性、ソーシャルワーカーに対する考え方の違いが顕著であることである。次に、(1)施設や行政機関の管理職・研究者養成に力点をおいた大学校、(2)キリスト教(リベラル派)に基づく教育理念のもとに韓国で最初に社会事業学科を設置し、現場のソーシャルワーカー養成に力点をおいた大学校、(3)同じくキリスト教に基づく教育理念であり、保守派であるとされ、伝道目的が明確かつ家政学科から社会福祉学科へ改組した結果養成課程を設置した大学校、(4)研究者養成と現場のソーシャルワーカー養成の両者を見据えた大学などには、それぞれのカリキュラム上の特性があり、研究のフォーカスだけでなく教育のあり方についての改革を積極的に進めていることがわかった。
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