2008 Fiscal Year Annual Research Report
高機能広汎性発達障害児の社会性障害とファンタジー世界への傾倒
Project/Area Number |
18530521
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
神園 幸郎 University of the Ryukyus, 教育学部, 教授 (70149334)
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Keywords | 高機能広汎性発達障害 / 自閉的ファンタジー / こだわり行動 / 固執 / 幼児期 / 防衛機制 |
Research Abstract |
本年度は自閉的ファンタジーの発達的特徴を解明するとともに、自閉的ファンタジーに傾倒する広汎性発達障害児に対する具体的な支援方法を検討した。一般に、幼児期から児童期にかけて言語的コミュニケーション能力が向上するにっれて、ファンタジーのストーリー展開が豊かになる傾向があった。また、こだわり行動が単なるモノそのものへの固執から、モノの操作への固執、質問嗜好といったモノの意味への固執を経てファンタジーへ変貌していく道筋が確認された。このことから、こだわり行動が自閉的ファンタジーの有力な起源として想定された。こだわり行動が自閉的ファンタジーとして変貌する背景に、行動水準から表象水準へ動機づける主体の側の認知や言語の発達変化が重要な駆動因として作用していることが仮定された。さらに加えて、こだわり行動を負の側面を持っ反社会的な問題行動として捉えて関わる他者、すなわち保護者や保育士、教師などの存在がこだわり行動を自閉的ファンタジーへと動機づける要因となっていることも推定された。自閉的ファンタジーには、不快・不安の回避や払拭を目的とする防衛機制的な特徴の強いものと、ファンタジー自体を 楽しむ娯楽機能の強いものがあることが明らかとなった。防衛機制的な自閉的ファンタジーは離脱への抵抗が高いため、不安や不快要因を軽減することでファンタジー没入への契機を防ぐ支援方法が効果的であり、他方、娯楽機能的な自閉的ファンタジーでは、没入時点の特定が難しい反面、授業開始のチャイムや教師の声かけで容易に離脱が実現することから、離脱時点に重点を置く支援方法が効果的であることが示唆された。
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Research Products
(3 results)