2006 Fiscal Year Annual Research Report
軽度発達障害を確率的にアセスメントするエキスパートシステムの開発
Project/Area Number |
18530523
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
足立 智昭 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (30184188)
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Keywords | 軽度発達障害 / 特別支援教育 / アセスメント / エキスパートシステム / 確率 |
Research Abstract |
1.研究目的 (1)軽度発達障害を効果的にアセスメントする項目の選定、および(2)それらの項目に付与する基本確率の調整。 2.方法 対象:幼児期後半、あるいは児童期前半に軽度発達障害の診断がなされた34例。これらの事例は、乳幼児健診や心理士による発達アセスメントの記録が残されているケースであり、その診断の内訳は、言語性LD4例、ADHD疑い14例、ADHD疑いから個性の範囲へ診断の変更があった1例、高機能広汎性発達障害(以下PDD)疑い15例であった。 アセスメント使用項目:(1)乳児期の人見知りの有無、(2)1,2歳児期の発達全般の遅れ、(3)1,2歳時期の言語発達の遅れ、(4)1,2歳児期の多動性、(5)1,2歳児期の固執性、(6)1,2歳児期の注意の欠如、(7)1,2歳児期の情動統制の困難性、(8)1,2歳時期の視線の合いにくさ、(9)VIQとPIQの大きな個人内差(10)人との関わりの乏しさ、(11)仲間関係のトラブル、(12)集団における多動性。 3.結果と考察 システム:それぞれの対象が、LD、ADHD、PDDである確率を算出するプログラム(C言語による)を作成した。プログラムは、基本確率による知識ベース、および基本確率の結合を行う推論ユニットから構成された。知識ベースは、予測する障害によって異なるが、推論ユニットは共通であった。 知識ベース:上記12の項目について、それぞれ3水準、3種類の基本確率が割り当てられた。例えば、1,2歳時期に発達全般の遅れがある場合、境界域の遅れがある場合、遅れがない場合において、それぞれにLDを予測する確率、LDを予測しない確率、どちらとも言えない確率が割り当てられたのである。これらの基本確率は、まず経験的知識に基づいて暫定的に数値が割り当てられ、次に、推論結果が、実際の診断に符合するようにそれらの値を調整することによって定められた。 80%を判別点として、それを超える値の場合に、その障害であるとアセスメントすると、34例中33例が正しく判定された(的中率、97.06%)。
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Research Products
(1 results)