2006 Fiscal Year Annual Research Report
自伝的記憶の想起における意識的処理と自動的処理-R反応とK反応の特性比較-
Project/Area Number |
18530559
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
堀内 孝 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 助教授 (00333162)
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Keywords | 自伝的記憶 / Remember / Know手続 / IRK手続 / 意識的成分 / 自動的成分 / 想起時間 / 自伝的記憶の新旧度 |
Research Abstract |
本研究の目的は,自伝的記憶研究にRemember/Know手続やIRK手続を導入することにより,自伝想起における意識的処理と自動的処理の特性について検討することであった。この目的を達成するために平成18年度は,3つの実験を行った。 実験1では実験参加者には想起時間を告げず,想起開始から2秒あるいは6秒で強制的に打ち切ることによって,想起時間の長短が自伝想起の意識性と自動性に及ぼす効果を検討した。その結果,2秒で打ち切られると意識的成分は6秒の時と比較して減少するが,自動的成分は2秒時と6秒時で変わらないことが見だされた。想起時間の影響を別の観点から検討するため,実験2では,実験参加者にはあらかじめ想起可能時間(2秒,6秒)を告知した上で自伝的記憶を想起させた。その結果,想起時間が2秒では6秒時と比較して意識的成分は減少するが自動的成分は6秒時と2秒時で変わらないことが見だされた。以上の結果は,自動的成分は意識的成分よりも比較的早い段階から生起し,遅くとも2秒後には十分に機能することを示唆するものである。次に,実験3では,想起させる自伝的記憶の古さを実験参加者内要因で操作し,自伝的記憶の古さが意識的成分と自動的成分に及ぼす影響について検討した。その結果,自伝的記憶が古くなると,意識的成分も自動的成分もともに減少することが確認された。エピソード記憶研究では,自動的成分は一般的に長期間持続することが知られているが,それらの研究で操作された保持期間の多くは1年以下であり,自伝的記憶のような数年以上にわたる過去の記憶に関しては意識的成分と同様に自動的成分も減少すると考えられる。
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