2007 Fiscal Year Annual Research Report
自伝的記憶の想起における意識的処理と自動的処理-R反応とK反応の特性比較-
Project/Area Number |
18530559
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
堀内 孝 Okayama University, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (00333162)
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Keywords | 自伝的記憶 / Remember / Know手続 / 意識的成分 / 自動的成分 / 事象関連電位 |
Research Abstract |
平成19年度の研究目標は,自伝想起における意識的成分と自動的成分の違いを検証するため,時間分解能に優れた事象関連電位を使用して"思い出せる(Remember)"反応と"わかるだけ(Know)"反応の波形を測定し,その相違について比較・検討を行なうことであった。"わかるだけ(Know)"反応の波形は基本的に自動的成分を反映したものと考えられる。一方,意識的成分と自動的成分は独立性が仮定されるが,同時に機能したときは意識的成分が優先して回答される。したがって,"思い出せる(Remember)"反応の波形には必ず意識的成分が存在するが,加えていくらかの自動的成分が混入していると考えられる。Czにおける"思い出せる(Remember)"反応と"わかるだけ(Know)"反応の波形に関して,刺激呈示後1600msまでは大きな違いは認められなかった。しかし,1600ms以降は"わかるだけ(Know)"反応が緩やかな減少傾向であるのに対し,"思い出せる(Remember)"反応は緩やかな増加傾向にあった。そこで,1600msから2000msの平均電位を求めた結果,"思い出せる(Remember)"反応のほうが"わかるだけ(Know)"反応よりも平均電位が高かった。自動的成分は刺激呈示後2000msにはほぼ完全に喚起するのに対し,意識的成分は刺激呈示後2000ms以降も増加する。今回得られた1600ms以降の"思い出せる(Remember)"反応と"わかるだけ(Know)"反応の波形の違いは,そのような生起速度の違いを反映しているものと解釈される。そして,"思い出せる(Remember)"反応と"わかるだけ(Know)"反応の間に違いが認められたことは,意識的成分と自動的成分の分離の妥当性を示している。本研究の成果は,学会・研究会で発表され,雑誌論文および図書として印刷中である。
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Research Products
(3 results)