2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530570
|
Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
今井 久登 Tokyo Woman's Christian University, 文理学部, 教授 (70292737)
|
Keywords | 記憶 / 展望記憶 / 自発的想起 / し忘れ / ヒューマン・エラー / アクション・スリップ |
Research Abstract |
平成19年度は,平成18年度に行った3研究,すなわち,(1)展望記憶の表象がどのような情報から構成されているのかを調べる調査的研究,(2)展望記憶の包括的なモデルの構築,(3)展望記憶が時間ベースと事象ベースの両方の性質を併せ持つことの実証的検討を,それぞれさらに深化させ具体化させた。 (1)については,平成18年度の調査的面接研究を踏まえて,大学生の研究協力者にメモ帳およびICレコーダを携帯してもらい,日常生活の中での「し忘れ」経験や「し忘れしそうになった経験」を報告してもらった。これらの発話および記録データに対して,外的な想起手がかりがない場合の自発的想起の日常経験を中心に,その頻度や性質に関する質的データ分析を行った。 (3)については,平成18年度段階では十分にその性質を捉えることができていなかったが,背景課題の内容や負荷を操作することで,外的な想起手がかりがない場合の展望記憶の自発的想起をさらに明確に捉える実験方法を開発した。その結果,本研究計画が想定した通り,展望記憶が時間ベースと事象ベースの両方の性質を併せ持つことを実証的にサポートするデータを得ることができた。さらに,リーディング・スパン・テストを使って作動記憶容量の個人差と展望記憶の自発的想起との関係を調べたところ,これらの間には相関がないという結果が得られた。この結果は,展望記憶の想起には作動記憶の限界容量を必要としないということを示すものであり,(2)の展望記憶の包括的なモデルを構築する上での重要な知見を得ることができた。これら成果は,International Congress of Psychology第29回大会(Berlin, Germany)で口頭発表する(事前審査を通り,発表準備中)。
|
Research Products
(2 results)