2008 Fiscal Year Self-evaluation Report
A study of experimental psychology on the beauty of human body action in motion pictures
Project/Area Number |
18530571
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Experimental psychology
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
MAEDA Hideki Rikkyo University, 現代心理学部, 教授 (20181589)
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Project Period (FY) |
2006 – 2009
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Keywords | 感覚 / 知覚 / 映像美 |
Research Abstract |
(1) 目的今日ヒトを取り巻く環境には映像があふれている。現代人は日常の読み書きの道具として映像表現を用いており、動画像は文字や音声の表現のみでは限界のあった直接的な経験としての「意味」を表現している。映像の積極的活用を通じて人間の生活の質を向上させることができないだろうか。映像を伝える技術に関する研究はさまざま見られるが、映像が伝える内容や意味そのものに関する学術的研究は決して多くない。ここには現代心理学の大きな課題があると考えられる。本研究では、2006年4月に新設された立教大学現代心理学部映像身体学科の研究・教育、および立教大学アミューズメント・リサーチセンター(RARC)による表現技法のアーカイブ化事業と連携して、映像による身体動作表現の美しさについて考える。 本研究は、今日の映像表現の基礎に映画制作者の発明した「映像編集(動画像配列)」の技法がある点に着目し、心理学における認識論(知覚論)の観点から映像美の実証的な理解を目指す。本研究の実験的検討では、1) 実験心理学の手法によって時系列上の動画像間に「できごと」の知覚的まとまり(事象の群化)が成立する条件を探り、2) 事象の群化が映像の美的評価にどのような効果を及ぼすのかを実証的データと理論的考察の両面から検討する。さらに心理学的知覚論の骨子にある知覚の、1) 現象論、2) 機能論、3) 機構論という3つの体系を包括する実践的な活動を展開する。特に、動画像系列に生じる「できごと」の知覚的まとまりが映像表現における視覚的な意味創出の起点になるという考えに基づき、映像の、1) 事例研究、2) 制作、3) 実験、4) 教育への応用を行う。これら4種の活動を心理学的知覚論の枠組みで統合する。 (2) 方法映像表現のなかでも最も基本的な身体動作の表現を検討する。動画像の提示により身体の動きを表現する手法が様々ある。身体動作を表現した映像の体験(みえ方)には、1) 情動反応(迫力が感じられる)、2) 事象知覚(何をしている動作なのかが正確に認識できる)という2つの次元があるように思われる。情動と事象を相互に表現できる映像は動画像配列の技法を巧みに用いて制作されており、制作に要した資源の多少に関わらず高い美的評価を得ている。連続提示された動画像の群化(まとまり)による身体動作の表現が映像の美的評価に影響を及ぼすと考えられる。この仮説に基づき、本研究では、1) 動画像群化の規定要因を種々の異なる条件下で検証・確認し、2) 動画像配列による身体動作の表現が映像全体の美的評価に及ぼす効果を明らかにする。1、2の知見を整理することにより日常的な映像制作の現場での応用を目指し、3) 実際の映像制作において低資源で効果的に美しい表現を成立させる方法を考察する。
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Research Products
(7 results)