2007 Fiscal Year Annual Research Report
選択的注意と半球間相互作用に関する認知神経心理学的検討
Project/Area Number |
18530575
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
吉崎 一人 Aichi Shukutoku University, コミュニケーション学部, 教授 (80220614)
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Keywords | 選択的注意 / 半球間相互作用 / 注意の負荷理論 / テテラリティ |
Research Abstract |
1.知覚的負荷並びに両視野への分割呈示が選択的注意に及ぼす影響 Lavieの負荷理論並びに左右各半球の独立した処理資源を前提として,われわれは各半球の知覚的負荷が適合性効果に与える影響について検討した。実験1と2abでは,2つの文字列が左右各視野に呈示され,それと同時に中央にディストラクターが呈示された。右手利きの実験参加者はディストラクターを無視しながら2つの文字列に含まれるターゲットを同定することを要求された。各実験でターゲットを含む文字列と含まない文字列の組み合わせによって2つの条件が設定された。これらの実験では,ターゲットを含まない文字列の知覚的負荷が低いときに適合性効果が大きいことが明らかになった。このことは,ターゲットを含まない知覚的負荷が低い文字列が投入された半球では,残された処理資源が多くそれがディストラクターの処理を促進したと推察された。実験3では2つの文字列が両半球に投入されたが,結果は各文字列の知覚的負荷によって適合性効果は変化しなかった。この結果は,選択的注意は2つの半球の処理資源それぞれによって変動することが示唆した。 2.文字探索課題における優位視野が選択的注意に及ぼす影響 1では左右半球の機能的差異を考慮しない形で検討された。そこで課題に対する半球優位性が適合性効果に与える影響について検討した。中心に呈示されるディストラクターを無視しながら右あるいは左視野に呈示された文字列からターゲットを同定することを求めた。文字列の呈示視野とターゲットとディストラクターの一致性が操作された。注目したのは,呈示視野が適合性効果に対してどのように影響するかであった。その結果,全体的に左半球優位性を示し,左視野呈示条件時の方が適合性効果は小さいことが明らかとなった。これは文字列が右半球に呈示されたときに処理効率が悪く,ディストラクターが初期選択的に排除されたと考えられた。
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