2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530576
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
鈴木 直人 Doshisha University, 文学部, 教授 (30094428)
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Keywords | 笑いの効果 / ポジティブ感情 / 精神生理学的反応 / 元通り効果 |
Research Abstract |
ポジティブ感情が持つ機能の一つとしてFredrickson & Levenson(1998)らによってネガティブ感情によって活性化した精神生理学的な反応の「元通り効果」が提唱されている。この元通り効果をもたらすとされるポジティブ感情の代表的なものとして「笑い」があるが、笑いの精神生理学的効果は判然としていない。そこで当初の研究目的と若干異なるが、充進した精神生理学的反応の低減をもたら上で中心的役割を果たすと考えられる「笑い」の機能を検討するために、ポジティブ感情の喚起中に、その表出手段である笑いを挿制することが、抑制中およびその回復時の精神生理学的反応にどのような影響を及ぼすかについて、時系列的な観点を含めて検討した。なお、笑いの抑制の有無は表情筋電図によってモニターした。その結果、笑いの抑制は一般感情尺度、GACLの各下位尺度に違いをもたらさず、主観的には影響を与えなかった。この実験ではポジティブ感情の喚起によるストレス緩和と抑制によるストレスとが打ち消しあってしまった可能性が否めない。一方、精神生理学的反応に関しては、心拍数、拡張期血圧には抑制の影響が認められなかったが、収縮期血圧が笑いを挿制することで上昇し、挿制終了後には、掬制をしなかった場合よりも急激に下降することが認められた。元通り効果では、ポジティブ感情を喚起することで、ネガティブ感情で充進した精神生理学的反応が元のレベルにすばやく戻ることを提唱しているが、本実験の結果は、元通り効果は笑いの行動とは無関係で、ポジティブ感清を喚起すれば生じる可能性を示唆するものかもしれない。
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Research Products
(31 results)