2008 Fiscal Year Annual Research Report
幕末維新期来日外国人の平田国学研究にみる教育の近代化
Project/Area Number |
18530625
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
熊澤 恵里子 Tokyo University of Agriculture, 教職・学術情報課程, 准教授 (90328542)
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Keywords | 教育学 / 日本史 / 幕末維新期 / 平田国学 / ケンペルマン / 教育の思想 / 教育の近代化 / 日本研究 |
Research Abstract |
平成20年度は本研究の最終年度にあたり、昨年度実施したドイツのケンペルマン関係の史料調査を継続して行った。当初英国オックスフォード大学におけるアーネスト・サトウの調査も予定していたが、予算ならびに日程的制約により断念し、ケンペルマンに対象を絞り、16日間に渡りドイツでの史料調査を実施した。ケンペルマンについては、フォン・ブラントの通訳官としての記録はあるが、その詳細は全く知られていなかった。したがって、本研究によりケンペルマンの出自、学歴、職歴などが明らかになった意義は大きい。史料調査は、大学図書館のほか、ケンペルマンの出身地クレフェルドの市立文書館、ギムナジウムのあるミュンスターの市立文書館、来日時代ならびにアジアでの外交官時代の史料があるベルリンの外交史料館、妻子が住んだハンブルクの市立図書館など、個人データを主に収集した。 ケンペルマンはクレフェルドの貧しい家庭の出身であったが、勉学優秀のため、ラテン語学校終了後、ミュンスターのギムナジウム・ポーリナムへ進学し伝統的な教養を修得し、卒業後ベルリンで文献学と歴史学を学んだ。20歳で日本への通訳見習試験に合格し、ドクトル・ベルリンとともに来日した。ギムナジウムとベルリンでの教養教育が外交官への道、さらには日本研究の基礎を築いたといえよう。「ドイツ東洋文化研究協会」でも活躍し、平田国学研究論文も含め、4本の論文を発表している。サトウ以前に神道に関する論考を発表しており、これは論文内容も含め今後精査、検討する予定である。本研究の成果は「≪研究ノート≫ケンペルマンと平田国学」として『日独文化交流史研究』(2008年号)に掲載された。
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Research Products
(3 results)