2008 Fiscal Year Annual Research Report
メキシコの近代公教育形成過程における教育のジェンダー化
Project/Area Number |
18530665
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
松久 玲子 Doshisha University, 言語文化教育研究センター, 教授 (40239075)
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Keywords | メキシコ / 近代公教育 / ジェンダー / 女子教育 / 学校教育 / フェミニズム / 人口政策 |
Research Abstract |
1920年代から30年代のカルデナス大統領期を含む広義のメキシコ革命期において、学校教育におけるジェンダー規範の形成過程を、国家とフェミニズム運動との交渉の場として位置づけた。メキシコ革命後に修正されたジェンダー規範は、フェミニズム運動や合理主義学校運動などの教育運動、それを支援する労働運動、カトリック教会に代表される保守勢力とのせめぎあいの中で生まれた。フェミニズム運動が、当時の合理主義学校運動や優生学の影響を受けながら、近代国家における国民を産み教育するというジェンダー役割を積極的に導入し、家庭における女性の役割を国家と結び付け、家庭内での男女平等を「差異の中の平等」として獲得しようとした。こうした当時のフェミニズム運動の女子教育への影響を、教育官僚であり、フェミニストであるエレナ・トーレスの女子教育観をその業績から跡付けることにより、従来の参政権、市民権の平等を求めたとされる第一波フェミニズム運動の多様な側面を提示した。 2008年8月に国立メキシコ自治大学定期刊行物資料館およびInstituto Moraにて、1920年代から30年代の合理主義学校教育運動およびその運動にたずさわった教師の証言集を中心に資料収集を行った。収集した資料をもとに、当時の第一波フェミニズム運動と合理主義学校運動の関係、教師の証言を通じた合理主義運動の実態を明らかにした。また、出産管理をめぐる性と生殖に関するメキシコのジェンダー・ポリティクスを、フェミニズム運動におけるヨーロッパおよびアメリカ合衆国の優生学の重要と関係づけた。その成果を、「日本ラテンアメリカ学会紀要『ラテンアメリカ研究』29号に投稿、2009年6月提載予定である。
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Research Products
(2 results)