2007 Fiscal Year Annual Research Report
リテラシー学習の再構築のための創発的綴りの体系的研究
Project/Area Number |
18530682
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
塚田 泰彦 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (50163762)
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Keywords | 教育学 / 言語学 / 正書法 / リテラシー / 言語発達 |
Research Abstract |
本研究は、子どもの文字習得過程で発生する「綴り」の実態を分析することが目的であるが、とくに文学表記(かなや漢字)のシステムをまだ習得してない入門期の実態を広くデータとして収集し、文字表記の基本システムに沿って体系的な整理を試みることが中心となった。研究は、まず原理的検討を経て7段階の発達段階を設定し、小学校1年生の6月前後と12月前後に調査を実施してデータ収集を行った。次に設定した発達段階に即して、データ整理を行ったところ、原理的に設定された7つの発達段階にほぼ相当する実態が確認され、この段階設定の有効性があわせて確認された。複数の学校でのデータを比較することで、学校ごとに、発達段階上の実態の差異も確認された。この一連の調査研究は、本科研の前に準備段階として調査したデータとあわせて、研究論文として発表した。 この2カ年にわたる研究では、1年生についてのデータを蓄積することで、発達段階の実態について、より精細に検討するとともに、とくに、「創発綴り」についての事例を収集し(選定し)、「創発綴り」の生産的な面と非生産的な面について実態に即して、整理し、その発生の原理や綴りに現れている意識を分析した。また、この「創発綴り」の研究それ自体が持つ研究の「教育的意義」についても考察し、学会発表を行った。 この研究での代表的な成果のひとつは、これまで実態が確認されていなかった幼稚園での実態をまとまったかたちで捉えたことにある。年少・年中・年長各学齢ごとに、一定程度の母数でデータを収集できたことや、クラス全体のデータを年少と年中で各1クラス収集したことが特徴である。このデータ分析の結果、年少クラスでもすでに段階6にいる園児が複数いることや段階ごとの分散の程度などが確認できた。また、1年生のデータでは確認することが難しかった、段階1(ひらがなつづり未修得段階)と段階2(ひらがなつづり習得(清音・濁音・半濁音)段階)について、発生的な実態を事例研究できた。この実態把握はオリジナルな知見を提供するものとなった。 以上の2カ年の研究成果を報告書にまとめ、刊行した。
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Research Products
(2 results)