2009 Fiscal Year Annual Research Report
1990年代以降のインクルーシブ教育の展開におけるスウェーデン・モデルの解明
Project/Area Number |
18530754
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
二文字 理明 Osaka Kyoiku University, 教育学部, 教授 (00030461)
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Keywords | インクルーシブ教育 / スウェーデン / カナダ / 知的障害者 / オープンカレッジ |
Research Abstract |
1.カナダのアルバータ大学を訪問し、現地のインクルーシブ教育関係者に取材を行った。 スウェーデン・モデルにはみられないインクルーシブ教育の特徴の一つとして、知的障害者の一般大学での受け入れがある。その先駆的事例として、アルバータ大学での「オンキャンパス・プログラム」を調査した。知的障害者を一般大学に受け入れる例は各国にもみられるが、カナダのように知的障害者が、ほぼ毎日、4年間、通常のカリキュラムの一部に実質的に組み込まれている例は稀有であろう。 関係者へのインタビューのほか関連資料を入手して、アルバータ大学のの「オンキャンパス・プログラム」を考察し論文化した。二文字理明(2010)後期中等教育以降のインクルーシブ教育の可能性、大阪教育大学紀要第IV部門(印刷中)に掲載した。 グローバリゼーションの潮流の中で、スウェーデンのインクルーシブ教育がカナダのものと本質的に大きな違いがあるとは認められなかった。しかし、両国の福祉制度の差異はかなり明白であり、スウェーデンにおける公的部門の大きいのに比べカナダにおいては私立学校のインクルーシブ教育の進展が顕著であるように見受けられた。ただ、スウェーデンにおいても民営化の潮流は時代の波のようであり、両国間の差異は縮まりつつあるようである。 2.スウェーデンへの再訪問を行いインクルーシブ教育関係の法律の現状を確認した。 HD(ハンディキャッフオンブズマン)が廃止されDO(差別オンブズマン)に統合された。関連の法令として新「差別禁止法」を翻訳し報告した(「その風のように街に出よう」第78号、75-79)。法律の変更に合わせるため昨年度刊行予定の増補に追われてその刊行が遅れているが本年度中には刊行できるよう準備している。
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