2008 Fiscal Year Annual Research Report
発展方程式に対するスペクトル選点法の応用とその数値安定性に関する研究
Project/Area Number |
18540124
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
竹内 敏己 The University of Tokushima, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (30264964)
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Keywords | スペクトル選点法 / 逆問題 / 発展方程式 / 数値シミュレーション / 安定性 / 高精度数値計算 / 熱伝導方程式 |
Research Abstract |
熱伝導方程式の逆問題に対する数値計算における数値安定性の研究を行った。熱伝導方程式の逆問題に対しては、数値的に不安定で計算が困難であることが知られている。例えば、空間を2次中心差分、時間を1次の陽的オイラー法を用いて解く場合、数値不安定であることが容易に証明される。実際、この場合の数値計算における数値解は時間発展と共にすぐに振動を始め、近似解を得ることが出来ない。これに対して空間、時間共にスペクトル選点法を用いた場合は、計算に用いるスペクトル選点法の次数に対して、適当な時間刻みの幅を選べば、数値計算が安定に行えることが経験上わかっていた。本研究では、これを離散化行列の固有値を調べることにより実証した。まず、逆問題では通常の問題と異なり数値解が時間と共に指数的に増大するため、誤差の成長率が解の成長率を上回らなければ安定という意味の相対安定性を定義した。次に、空間、時間共にスペクトル選点法で離散化したときに離散化方程式から得られる時間発展に対する行列の固有値を調べて、相対安定となる時間刻みの値が存在するかどうかを調べた。その結果、スペクトル選点法の次数を固定したとき、ある値より大きな時間刻みに対して相対安定であることがわかった。この値はスペクトル選点法の次数と共に大きくなることもわかった。また、実際の数値計算において相対安定な時間刻みの値を用いて数値計算を行い、長時間にわたる数値計算において安定に近似解が得られることを確認した。
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Research Products
(1 results)