2008 Fiscal Year Annual Research Report
3次元双曲多様体における岩澤予想とその数論への応用
Project/Area Number |
18540203
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
杉山 健一 Chiba University, 大学院・理学研究科, 教授 (90206441)
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Keywords | 双曲幾何学 / 3次元双曲多様体 / L-関数 / 特殊値 / 岩澤予想 / 代数的K-群 / Selberg跡公式 / Regulator |
Research Abstract |
3次元の双曲幾何学と整数論の類似性に注目して、整数論における岩澤予想やLichtenaum予想の幾何学的な対応物、あるいは幾何学的なモデルから整数論におけるBirchとSwinnerton-Dyerによる楕円曲線のL-関数の特殊値についての予想を幾何学的な立場から解釈するというのが本研究の目標である。前者については、体積有限の3次元双曲多様体上のユニタリ局所系で、無限遠方で弱い条件を満たすものに対して満足する結果が得られた。つまり、岩澤予想あるいはLichtenaum予想の類似が整数論における定式化とほとんど同じ形で成立することが判明した。さらに、整数論においては3つのゼータ関数、すなわち複素L-関数、p-進L-関数と岩澤多項式の問の関係を明らかにすることが重要であるが、3次元双曲幾何学においても同様であると推測される。ところが複素L-関数と岩澤多項式に対応するものはそれぞれRuelle L-関数、Alexander多項式であることは明らかであるが、p-進L-関数の対応物は明らかではない。平成20年度の研究では、これこそがJones多項式ではあろうという予想を立てた。この予想は双曲結び目に関する体積予想に自然な解釈をあたえる。実際、Jones多項式がRuelle L-関数の性質を良く反映するとしよう。するとJones多項式の対数をとりその極限をとることは、Ruelle L-関数の第2項を計算することに相当するが、それは多様体の体積であることは既に示している。このように体積予想は、整数論における複素L-関数とp-進L-関数のようにRuelleL-関数とJones多項式の関係がわかれば、その帰結として自然に導かれる。
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