2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
儀我 美保 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 特任研究員 (20422397)
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Keywords | 非線形現象 / 界面運動方程式 / 粘性解 / 非線形偏微分方程式 / 結晶成長 / クリスタライン曲率流 / 自己相似解 |
Research Abstract |
平面内の曲率流方程式の離散モデルである、クリスタライン曲率流方程式について考察した。曲線短縮方程式は、曲線の長さを最も減らすように垂直方向に変形していくことを要請する方程式である。これに対してクリスタライン曲率流方程式は、多角形をその線の方向を保ちながら、その重み付の長さを減らしていく変形を要請する方程式である。曲線短縮方程式の立場から、その法則を記述すると、非等方的曲率流、特に界面エネルギー密度が区分1次の場合のいわゆる非局所的曲率流とみなせる。これまでの議論では、対象とする多角形を表面エネルギー密度に対応するウルフ図形に現れる角度の辺に制限し、また隣り合う辺どうしのなす角がウルフ図形に現れるものと同じとするいわゆる許容多角形に制限してきた。 しかし、画像処理である形状の骨格(プリミティブ)を得ようとする場合には、任意の多角形を初期形状として変形できることが望ましい。必要に応じて新しい辺を瞬間的に増やす必要がある。クリスタライン曲率流方程式自身は、許容多角形については、その長さについての連立常微分方程式系であるが、新たに辺を増やすとなると対応する初期値問題は特異な方程式となり、いわゆるBriot-Bouquetの方程式系となる。角を構成する2つの辺がとまっていて、間に新たなウルフ図形に現れる辺をはやすことは、角領域内の拡大自己相似解の構成に対応し、連立2次方程式の正値解を求める問題と同等である。これについては、2006年度の研究で既に構成済みである。本年度は2つの辺が動く場合について、その解の構成を目指した。 級数法、逐次近似法を試したが、いずれも上手くいかず、幾何的に考察し、比較原理を用いることに思い至った。実際、幾何学的方法を構築することにより、このBriot-Bouquet方程式の初期値問題の時間局所解の構成に成功した。
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Research Products
(5 results)