2007 Fiscal Year Annual Research Report
正則写像半群、バンドル上の複素力学系、およびランダムな複素力学系の研究
Project/Area Number |
18540216
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
角 大輝 Osaka University, 大学院・理学研究科, 准教授 (40313324)
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Keywords | 解析学 / 複素力学系 / カオス / フラクタル / ランダムな複素力学系 |
Research Abstract |
リーマン球面上の有理関数で生成された写像の合成を積とする半群を有理半群とよぶ。その力学系や、ランダムな複素力学系、フラクタル幾何学で現れる自己相似系などの全てを,同時に統一的に研究した。ランダムな複素力学系については、無限遠点に収束する確率の関数が複素平面上の特異関数とでもよぶべき状況になる。このことを深く掘り下げて調べ、この関数のジュリア集合での全微分不可能性やヘルダー指数を調べた。これらの結果は特異関数とランダムな複素力学系に全く新しい視点を与えている。また、後方自己相似系についての「相互作用コホモロジー」を定義し、詳しく調べた。特に、「前方不分岐」である後方自己相似系について、コホモロジーの計算、第n次被覆のコホモロジーのランクの、nに関する増大度、などを詳しく調べた。また、多くの例を発見した。これらの結果は自己相似系の分類を行ううえで、今後欠かせないものとなるであろう。また、アメリカ・Ball State UniversityのR. Stankewitz氏と共同研究を行い、臨界値集合が有界な多項式半群で双曲性を持つもののうち、全てのファイバージュリア集合が交わっているようなクラスの分類を試みた。このクラスについてはまだわかっていないことが多くあり、今後の研究において、指針となるであろう。さらに、アメリカ・University of North TexasのM. Urbanski氏と拡大的有理半群のジュリア集合のハウスドルフ次元などについての共同研究を行った。その一つの結果として、Bowen指数とジュリア集合のハウスドルフ次元が一致する非常に広いクラス(これは開集合条件とは異なる)を発見できた。この結果は有理半群とランダムな複素力学系の研究に多くの応用をもたらすであろう。
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Research Products
(2 results)