2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540228
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山内 茂雄 Iwate University, 人文社会科学部, 准教授 (60260410)
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Keywords | X線 / X線スペクトル / 銀河面X線放射 |
Research Abstract |
X線天文衛星「すざく」により取得した観測データの解析を行い、以下のような結果を得た。 1)銀河面上の様々な領域で観測した拡散成分のスペクトルについて、鉄輝線に注目した解析を行った。先の解析により、盾座領域について鉄輝線は電離の進んでいない鉄、ヘリウム状にまで電離した鉄、水素状まで電離した鉄からの3本の輝線からなること、これらの輝線には有為な広がりが見いだせないことを明らかにしたが、本解析により、これらは銀河面上のいずれの領域でも見られる共通の特徴であることを明らかにした。また、ヘリウム状、水素状の鉄からの輝線の強度比は、2000万度から8000万度の温度で電離平衡状態にある高温ガスから放射されたものと一致すること、そして銀河中心近傍よりも系統的に低い値を示すことがわかった。今後はスペクトル全体の特徴を調べるため、鉄輝線のバンドのみでなく、広いエネルギー範囲での解析を行う予定である。 2)超新星残骸G344.7-0.1の観測データの解析を行った。「あすか」衛星による観測結果では、電離していない中性の鉄からの輝線の可能性も考えられたが、「すざく」衛星による輝線エネルギーの測定結果から中性の鉄ではなく、いくらか電離が進んだ鉄からの輝線であることがわかった。このことは超新星残骸中で作られた高エネルギー電子が星間ガス中の鉄元素と衝突して励起・電離し、輝線を放射するというプロセスでは説明できないことを示し、1000万度程度の高温ガスに加えて、それよりも電離が十分進んでいない若いプラズマ成分が共存しているという可能性を示唆する。
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Research Products
(7 results)