2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540260
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松原 隆彦 名古屋大学, 大学院理学研究科 (00282715)
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Keywords | 宇宙論 / 宇宙の大規模構造 / 宇宙背景放射ゆらぎ / 統計的宇宙論 / フーリエ解析 |
Research Abstract |
今年度は宇宙の解析に対する基礎的な研究をいくつか異なる観点から行った。まず、宇宙の初の状態を調べるのに重要な宇宙背景放射ゆらぎに対し、斬新な解析法であるミンコフスキー汎関数について研究した。これにより宇宙初期にあったとされるインフレーション理論などを、ゆらぎの非ガウス性という観点からどのように調べることが可能なのかを明らかにした。次に、宇宙の大規模な銀河分布から宇宙の性質を調べる方法論を研究した。これまでに使われていたカウントイセセル法を拡張し、宇宙論パラメータを決定するのに最適となるようなカーネルを選ぶ可能性を探った。この結果、エバネチニコフカーネルと呼ばれるカーネルを用いれば、これまでの一様カーネルを用いるよりも有利であることを明らかにした。次に、宇宙論をはじめとするゆらぎの場の解析において重要なフーリエ解析についての基礎的な研究を行った。フーリエ解析の統計的性質はガウス場についてはほぼ完全に解明されているといってもよいが、非ガウス場についての解明は依然ほとんど進んでいなかった。これについて新しく系統的な方法を考案し、大きな進展を得た。その結果、宇宙論などで有用な一様なゆらぎのランダム場に関する一般的な定理をいくつも発見した。さらに具体的な統計的性質を明らかにするなど、これまでまったく知られていなかった事実を多数明らかにした。いくつかの非ガウス場の例についで数値実験を行い、これらの解析的な結果を確かめた。これにより今後の宇宙論でもさらに重要な役割を果たすフーリエ解析の可能性を大きく広げた。
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Research Products
(4 results)