2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540260
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松原 隆彦 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 准教授 (00282715)
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Keywords | 宇宙論 / 宇宙の大規模構造 / 宇宙背景放射ゆらぎ / 統計的宇宙輪 / フーリエ解析 |
Research Abstract |
本年度の業績は、フーリエ解析の一般論、スローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)の2度のデータリリース、および宇宙論的摂動論の新しい定式化とその応用についての研究である。まず、フーリエ解析の一般論については前年度までに行った研究で、非ガウス場のフーリエ係数の統計的ふるまいについてこれまでなぞとされていた問題のいくつかを初めて解明することに成功し、まとまった論文として出版した。SDSSのデータリリースについては、これまでに行ってきた国際共同研究の成果として、史上最大の銀河サーベイのデータを一般に公開しているが、その5度目と6度目になる公開を行った。最後に、本年度最大の業績としては、新しい定式化に基づく宇宙論的摂動法の展開である。これまでの標準的な宇宙論的摂動法では、大スケールの非線形成長が精度よく記述できないこと、観測に対応する赤方偏移空間において信頼できる予言をできないこと、さらには小スケールに好ましくない振舞いをもち、パワースペクトルから相関関数を計算できないこと、などさまざまな欠点がしられている。そこでラグランジュ的な流体記述に基づいた定式化から出発し、上のような欠点を克服する定式化を新しく発見した。この結果、初期宇宙のバリオン音響振動に起源をもつ宇宙大規模構造の特徴を用いて宇宙のダークエネルギーを制限する方法に特に有用な解析的方法を提供できることを明らかにした。とくに赤方偏移空間における理論的予言としては、ほかの方法では提供できない唯一の方法となる独自性の高いものである。
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Research Products
(11 results)