2008 Fiscal Year Annual Research Report
クォーク模型による現実的バリオン間相互作用とその少数多体系への応用
Project/Area Number |
18540261
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 義和 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 講師 (70199397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 宜之 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70018670)
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Keywords | 理論核物理 / クォーク模型 / バリオン間相互作用 / ストレンジネス / 少数多体系 / ハイパー核 / Faddeev方程式 / G-行列 |
Research Abstract |
本研究の目的は現実的クォーク模型バリオン間相互作用であるfss2,FSSを用いて軽いΛハイパー核等のFaddeev計算やBrueckner理論に基づく詳細なG-行列計算を行い、ハイパー核やハイペロン・核子相互作用の新しい実験データとの比較検討を通じて、より正確なハイペロン・核子相互作用やハイペロン・ハイペロン相互作用の理解を得ることである。今年度は、これまでのクォーク模型バリオン間相互作用のG-行列を用いたバリオン八重項,Λ,Σ,Ξハイペロンとα粒子や三核子系との間のポテンシャルの計算を、ハイペロン^<12>C(O^+)とハイペロン^<16>O系にまで拡張し、芯核がp-殻核になった場合の変化を考察した。現在、特に注目を集めているΞポテンシャルに関しては、核表面付近に2-3MeVの引力を有し、内側では振動する振舞いを持つことを明らかにした。このことはBrueckner Hartree-Fock波動函数と局所密度近似を用いた更に重い系(^<28>Si,^<40>Ca,^<56>Fe,^<90>Zr等)でも、また独立の計算方法によって得られ、更にJ-PARCでの実験の開始に先立ってΣ^-ハイペロンやΞ^-ハイペロンの作るクーロン原子準位のエネルギーシフトと崩壊幅が計算された。また、現実的クォーク模型バリオン間相互作用の確率的変分法への応用をめざして、fss2の近似であるガウス型非局所ポテンシャルを作成した。これを用いて、クォーク模型NN相互作用とその重陽子波動函数を用いたnd散乱の共鳴群模型による解析を行い、実験データの再現のためには重陽子のdistortionやbreakupの効果を完全に含むFaddeev formalismによる散乱問題の取り扱いが必須であることが明らかになった。
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