2007 Fiscal Year Annual Research Report
高次元超重力理論における超対称解の大域的構造と安定性の研究
Project/Area Number |
18540265
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
小玉 英雄 High Energy Accelerator Research Organization, 素粒子原子核研究所, 教授 (40161947)
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Keywords | 素粒子論 / 数理物理 / 統一理論 / 宇宙論 / ブラックホール |
Research Abstract |
本年度は、高次元重力理論におけるブラックホール解および宇宙論的解に関して研究し次の成果を得た. 1.ブレインワールドブラックホールの摂動論的研究:高次元統一理論から低エネルギーにおいて時空が4次元的に振舞う理論を得る方法として、ブレインワールドモデルがある.このモデルが現実の宇宙を記述する理論となるかどうかを判断する上で安定なブラックホール解を持つかどうかは重要な問題である.この問題に対するひとつの試みとして、高次元球対称ブラックホール解の加速解を、特異点がひも状であるという条件下で摂動論的に求めることを試みた.その結果、この加速解はひもの線密度に対応する1個の関数により表され、ブレインブラックホールを表すための条件はこの関数に対する積分方程式となることを示した.この成果については、現在論文を作成中である. 2.単純回転高次元ブラックホールの安定性:漸近的に平坦な回転ブラックホール解の安定性は高次元ではほとんどわかっていないが、宇宙項が負の場合には不安定性が現れることが予想されている。この研究では、ゲージ不変摂動論を用いて、単純回転をしている高次元ブラックホールのテンソル型摂動が、角運動量が宇宙項から決まる臨界値より小さいときは安定であること、またこの臨界値を超える場合は不安定となる可能性が高いことを示した。この結果は、Prog.Theor.Phys.Suppl.に掲載が確定している. 3.ヘテロ型超重力理論における高次補正とその宇宙論的解:現在、高次元統一理論においてモジュライ安定化を実現するコンパクト化として、フラッグズコンパクト化が注目を集めているが、その多くは低エネルギー現象論との対応が難しいII型の理論に関するものが多く、現象論酌に優れたヘテロ型での議論は十分行われていない.この原困の一つは、ヘテロ型ではアノーマリー相殺条件のために、フラックスが存在する場合一般に高次の弦理論的補正を考慮することが必要となることにある.本研究では、この補正の効果を調べるため、補正を考慮した方程弐の解の安定性を調べている.この研究は現在進行中である.
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