Research Abstract |
Koideの質量公式について重要な進展が以下のようにあった. (1)2006年4月,米国のBrannenによって,ニュートリノの質量もまたKoideの式と同じタイプの式を満たすということが指摘された.彼の主張そのものはまだspeculationのレベルに過ぎないが,その可能性そのものは現象論的に検討してみる価値は十分にある. (2)観測されているニュートリノ混合がほぼtribimaximal mixingであることが問題の鍵となる.この混合を与え,かつ,荷電レプトンの質量公式を与えるモデルの探索が,離散対称性S3の立場からなされた.結果は,論文arXive hep-ph/0605074(Journal of Physics Gに掲載決定)およびhep-ph/0612058 (European Physical Journal C, 2007)に与えられている.S3対称性に更なる付加的仮定を持ち込めば,それらを導くことは可能である. (3)従来,Koideの質量公式を与えるヒグススカラーはSU(2)_L doubletsと考えていたが,Frogatt-Nielsenモデルを採用することにより,SU(2)_L singletsと考えることにした.これにより,フレーバーを変える中性カレントの登場という従来のモデルにおける困難は回避されることとなった. (4)2006年12月に米国のMaは,私の提案したヒグスポテンシャル(Phys.Rev.D73,(2006))を,超対称性理論へと発展させた形で書き表すことを提案した.彼はS3およびΣ(18)対称性の場合についてそれを提案したが,私は,自然はもっとシンプルであるべきと考え,A4対称性のもとでの超対称性理論化されたヒグスポテンシャルを提案した(hep-ph/0701018, Physics Letters Bに投稿中). なお,これら一部の研究成果はハワイでの米国・日本共同物理学会にて報告された.また,12月には,ニュートリノ物理において活躍している若手研究者を招いて,ミニ国際研究集会を開き,更なる発展のための討論を行った.(ProceedingsはInt.J.Mod.Phys.E, 2007に掲載予定.)
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