Research Abstract |
前年度後半より,Maの研究成果[Phys. Lett. B 649 (2007) 287]に刺激をうけて,超対称性理論の立場からの研究に力を注ぎ,この方向での研究は大きな進展があった:質量行列M_fの起源を,従来からの考え(M_f)_<ij>=(Y_f)_<ij>V_H (Y_fは3×3行列表示の湯川結合定数,V_Hはヒグススカラーの真空期待値)から決別し,Y_fそのものもU(3)フレーバーnonet fieldΦの真空期待値<Φ>に起因するという立場からの定式化の流れがほぼ固まった.ΦについてのスーパーポテンシャルWを与えることによってそこから真空期待値<Φ>を求め,それによって,クォークとレプトンの質量スペクトルと混合を与えようとする処方である.そのとき,Wに対して離散対称性S_<3'>A_<4'>S_4を要求して荷電レプトンの質量公式を求める試みは,JPG(2007),EPJC(2007),JHEP(2007)にそれぞれ発表された.特に,JHEPに発表された論文で,U(3)対称性がS_4に壊れるというシナリオを提案し,これによって荷電レプトンの質量公式の導出に成功した.また,Habaとの共著でなされた研究成果[Phys.Lett.B(2008)]は,離散対称性を用いない手法として注目に値する.更に最近,もっと野心的に,超対称性の破れを積極的に利用したシナリオをHabaとともに提唱した(ArXiv:0802.1084).また,これまで,レプトンだけについての定式化であったが,これをクォークとレプトンにも拡充した定式化をごく最近手がけ始めており,その一部はArXive:0802.1084(to be published in Phys. Lett. B(2008), March)に公表した.現在,ニュートリノ質量行列についての論文をまとめつつあり,これも近く公表できる予定である.
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