2006 Fiscal Year Annual Research Report
時空超対称性に基づく反ド・ジッター時空の弦とブラックホールの物理
Project/Area Number |
18540287
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Urawa University |
Principal Investigator |
初田 真知子 浦和大学, 社会福祉学部, 助教授 (10364887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 俊弥 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (00222323)
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Keywords | AdS / CFT対応 / 可積分性 / 非局所的荷電 / T-デュアリティ / pp-波時空 |
Research Abstract |
時空超対称性に基づく反ド・ジッター時空の弦とブラックホールの物理の研究において、近年注目されているもののひとつに、可積分性がある。この可積分性を用いて、反ド・ジッター時空上の弦理論と共系不変なゲージ理論の対応における、ある種の近似的な状況での対応が示されるようになった。そこで我々は、この可積分性と、弦理論の特徴的なデュアリティのひとつであるT-デュアリティとの関係を調べた。具体的に計算した量は、可積分性の定義でもある無限個の保存量を、反ド・ジッター時空の近似であるplane wave波時空と平坦時空の場合に、T-デュアリティ変換を行う前と後で求め比較した。その結果、平坦時空の場合は、T-デュアリティ変換を行う前の0次の保存量(ネーター荷電)が、T-デュアリティ変換を行った後の1次の保存量に等しく、T-デュアリティ変換を行う前の1次の保存量が、T-デュアリティ変換を行った後の0次の保存量(ネーター荷電)に等しくなることを示した。つまり、T-デュアリティ変換で、偶数次の保存量と奇数次の保存量が入れ変わるのだ。plane wave-時空の場合は、T-デュアリティ変換を行った後の0次の保存量(ネーター荷電)が、T-デュアリティ変換を行う前の1次の保存量に等しくなることを示した。ここで、plane wave時空の場合、T-デュアリティ変換を行うと、ラモン/ラモン場がゼロでなくなってしまい、カレントの平坦性条件が満たされなくなってしまう。そこで、通常の方法では、1次以降の無限個の保存量の計算ができなくなってしまう。もしこのことが本質的であるならば、言い換えると、T-デュアリティ変換で関係付くいくつかの曲がった時空のうち、無限個の保存則を求められるようなカレントの平坦性条件が満たされる場合のみが、AdS/CFT対応でゲージ理論と対応が付く、ということを導くのかもしれない。この問題の解決は、次年度に引き続き取り組む予定である。
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Research Products
(1 results)