2007 Fiscal Year Annual Research Report
STM/STSから見た高温超伝導体のチェッカーボード型電荷秩序と擬ギャップ
Project/Area Number |
18540332
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
桃野 直樹 Muroran Institute of Technology, 工学部, 准教授 (00261280)
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Keywords | 高温超伝導体 / 走査トンネル顕微鏡 / 電荷秩序 / 擬ギャップ / ストライプ鉄序 |
Research Abstract |
平成19年度は、特にチェッカーボード型電荷秩序とストライプ秩序の関系について研究を行った。ストライプ秩序は主にLa-Ba系やLa-Nd-Sr系の高温超伝導体において研究結果が報告されてきたが、Bi系高温超伝導体で発見されたチェッカーボード型電荷秩序がストライプ秩序と関連している可能性が最近指摘され、あらためて注目を集めている。ストライプ秩序が発達すると超伝導が強く抑制されるが、ストライプが静的にならずに揺らいだ状態では超伝導と共存する可能性が指摘されており、ストライプ相関と超伝導の関係はまだ明らかにされていない。 本研究(H19年度)では、まずストライプ秩序の発達が顕著なLa-Nd-Sr系高温超伝導体において走査トンネル顕微鏡・分光実験(STM/STS)を行い、ストライプ秩序の発達が無いLa系高温超伝導体のSTM/STSの結果と比較した。その結果、超伝導転移温度T。より高温のストライプ秩序状態ではSTSスペクトルがd波ギャップ的なV字型スペクトルを示すことが分かった。ギャップ端エネルギーから求めたギャップサイズは、同じホール濃度でストライプ秩序を示さないLa系高温超伝導体の超伝導ギャップや擬ギャップのサイズとほぼ同じであった。この結果は、ストライプ秩序と擬ギャップ、超伝導ギャップの間に何らかの関係があることを示唆する。擬ギャップと超伝導ギャップの関係は、これまでSTM/STS実験や光電子分光実験等から精力的に研究されてきたが、本研究の結果はストライプ相関もそれらと合わせて考慮する必要があることを意味する。
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