2006 Fiscal Year Annual Research Report
リング交換機構による強磁性結合を起源としたスピン三重項超伝導の微視理論
Project/Area Number |
18540338
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
太田 幸則 千葉大学, 理学部, 助教授 (70168954)
|
Keywords | 物性理論 / 強相関電子系 / 超伝導 / 磁性 / 交換相互作用 / リング交換 / トリプレット超伝導 / 密度行列繰り込み群 |
Research Abstract |
本研究の目的は、三角格子上を運動する電子系の電子スピン間に働くリング交換機構と呼ばれる強磁性結合のミクロな機構を、スピン三重項超伝導の発現に利用する可能性を検討し、この機構が働く現実の超伝導物質を探索することである。 今年度は特に、密度行列繰り込み群(DMRG)という数値的手法を駆使することにより、異方的三角格子系を含む特殊な低次元格子構造を持つ種々の強相関電子系物質を対象に、リング交換機構によるスピン三重項超伝導の微視理論の展開を行った。具体的な研究目的は次の3点である。(1)ジグザグ梯子格子ハバード模型の低エネルギー電子状態の解明、(2)2次元異方的三角格子系におけるスピン三重項超伝導の発現機構の実証、(3)現実の物質群で観測される超伝導と理論との対応付け。 今年度実行に移した具体的研究課題は次の通りである。(1)ジグザグ梯子ハバード模型の基底電子相図と低エネルギー励起構造の解明、(2)フェロ結合した2鎖ハバード模型におけるスピン三重項超伝導の研究、(3)擬1次元及び2次元分子性導体に固有の有効強相関電子模型の導出、(4)遷移金属酸化物系におけるスピン三重項超伝導の可能性の探索、(5)リング交換機構が働く三角格子関連の3鎖系に理論を拡張、(6)今年度の研究成果の学会等での公表。 これらをもとに、次年度以降の研究計画を再度確認した。
|
Research Products
(6 results)