2007 Fiscal Year Annual Research Report
リング交換機構による強磁性結合を起源としたスピン三重項超伝導の微視理論
Project/Area Number |
18540338
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
太田 幸則 Chiba University, 大学院・理学研究科, 教授 (70168954)
|
Keywords | 物性理論 / 強相関電子系 / 超伝導 / 磁性 / 交換相互作用 / リング交換 / スピン三重項超伝導 / 密度行列繰り込み群 |
Research Abstract |
三角格子上を運動する電子系においては,電子スピン間に強磁性結合を生み出すリング交換機構と呼ばれるミクロな機構が存在する。この機構を,金属強磁性にではなく,スピン三重項超伝導の発現に利用できないだろうか。また,この機構が働く現実の超伝導物質は存在しないだろうか。本研究の目的は,密度行列繰り込み群(DMRG)等の数値的手法を駆使することにより,異方的三角格子系を含む特殊な低次元格子構造を持つ種々の強相関電子系物質を対象に,リング交換機構によるスピン三重項超伝導の微視理論の更なる展開を行うことである。 今年度は,特に次の2点を明らかにした。(1)ジグザグ梯子格子ハバード模型の広域基底電子相図の作成を行った。これにより,この模型のスピン三重項超伝導のパラメータおよびフィリング領域を明らかにした。広域相図には,常磁性金属相,強磁性金属相,スピンー重項超伝導相など多彩な電子相が現われ,この模型が極めて興味深いものであることが明らかとなった。(2)ジグザグ梯子格子ハバード模型の低エネルギーのスピンおよび電荷励起スペクトルの計算を,動的密度行列繰り込み群の手法を用いて行った。これにより,励起スペクトルに現われるスピン三重項超伝導の特徴を明らかにした。(3)強磁性交換相互作用で結合した2鎖ハバード模型の電子状態と超伝導の研究を行った。これにより,簡単化した模型での超伝導とジグザグ梯子格子ハバード模型での超伝導の差が明確になった。
|