2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540371
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
早川 尚男 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (90222223)
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Keywords | 粉体 / レオロジー / 弾性体 / はねかえり係数 / ASEP |
Research Abstract |
本年度は主として粉体、弾性体の衝突と接触、非対称単純排他過程(ASEP)の統計力学の研究に成果を挙げた。また教科書として「非平衡統計力学」をサイエンス社から出版し、放送大学の講義を3回分行い、その教科書を執筆したことが一般向けの業績である。 研究の詳細を紹介してみよう。粉体においては微小重力実験に即した粉体ガスのシミュレーションと理論解析を進めている。実際に実験を行った振動後の冷却に関してはやや研究が滞っているが、同じく重力の影響がない状態での剪断流の解析では大いに意味のある結果を得た。我々は2次元の剪断流の粒子シミュレーションを行い、運動論によって導かれた流体力学の結果と定量的に比較することで両者が良好な一致を示すことを明らかにした。この研究は粉体のレオロジーを明らかにする重要な一歩になっていると思われる。またこの剪断系ではBagnold則が成り立たず熱伝導が重要であることを明らかにした。現在、粉体ガスにおける時間相関関数のロングタイムテールについての成果も得て論文執筆中であり、粉体ガスの研究は19年度に引き継がれることになっている。また無散逸の弾性体の接触と衝突を調べることで従来の弾性理論で仮定される平衡状態へどのように緩和するのかを明らかにした。現在、3次元モデルの正面衝突ではねかえり係数が1を超えるメカニズムとゆらぎの定理の関係をまとめつつある。またASEPに関しては系の途中で出入りのある系では、その出入りのあるサイトが渋滞と非渋滞を隔てる界面(キンク)を引きつけることを示し、それがどのようなポテンシャルで記述できるかを明らかにした。
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Research Products
(6 results)