2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540373
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤 定義 Kyoto University, 理学研究科, 准教授 (10217458)
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Keywords | 乱流現象 / 計算物理 / 乱流拡散 / 乱流混合 / 輸送現象 / 物性基礎論 |
Research Abstract |
本研究では、乱流揺らぎが引き起こす輸送現象の基礎付けを課題としている。特に、最も基本的な輸送現象として、乱流相対拡散と呼ばれる、流体運動によってパッシブに流される1対の粒子対の相対距離の伸長過程を対象とした。粒子対の相対距離の分布関数の時間変化を記述するモデル方程式を導出し、その拡張及び、直接シュミレーション(DNS)や実験との比較を行った。 この結果、確率の保存を弱く破っていた基本モデルの欠点を保存形式に拡張することで克服し、物理的直観に基づく基本モデルが高い近似で正しい結果を与えることを確かめた。本研究で得た基本モデルは(自己相似電信方程式)は、従来の多くのモデルと異なり、初期発展において満たすべきバチェラーの相似則を記述できる。この結果、十分発達した乱流状態を仮定して構成されている乱流拡散モデルと、発達が十分でないDNSや実験と初期発展を比較することで、モデルの検証が行えることを示した。これは、今後の研究の指針を与えるものである。 本モデルは初期における伸長の有限性を分布関数のレベルで適切に記述できる。ただし、乱流の各スケールでの速度分布をデルタ関数で近似しているため、強い秩序性を残している。この欠点を修正する取り組みも行ったが、完成するレベルには達しなかった。 この他、宇宙における星間物質の乱流混合と星雲形成の関係を明らかにする取り組みの基礎として、星間物質の局在構造の形成過程、特に観測で知られている非常に長い緩和時間を力学系的な視点から定常解への漸近過程として説明できることを示した。
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Research Products
(9 results)