2007 Fiscal Year Annual Research Report
モンテカルロ法による複雑なスピン系の動的・静的臨界現象の研究
Project/Area Number |
18540379
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
岡部 豊 Tokyo Metropolitan University, 大学院・理工学研究科, 教授 (60125515)
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Keywords | モンテカルロ法 / ランダムスピン系 / KT転移 / 双対性 / vortex / 画像処理 / 画像領域分割 |
Research Abstract |
本研究の目的は、新しいモンテカルロアルゴリズムを用いて、これまで困難とされてきたランダム系、フラストレート系、非平衡定常状態転移などの問題に取り組むと共に、さらに有効なモンテカルロアルゴリズムを開発することにある。本年度の主な研究成果を示す。 1.ランダムスピン系と双対性 昨年度に、Kosterlitz-Thouless(KT)転移を示す2次元希釈Villain型クロックモデルの相転移を論じた。最近、大関-西森により、双対性をもつランダム系の転移温度に関する展開理論が提唱され、その理論の検証のため、さらに精度の高い数値計算を実行した。 2.KT転移におけるvortex density KT転移を示す系では、低温ではvortexの励起が対を成しているのに対し、高温で自由vortexが現れる。周期境界条件では、vortexが現れるとすると偶数個になるので、単独の自由vortexが出始めるところを見ることができない。以前に、川村-菊池はdiagonally antiperiodic(DAP)境界条件をとることにより、自由vortexを調べた。境界条件の違いによるエネルギーや自由エネルギーの差を調べることにより、vortexの性質を調べたが、精度が十分ではなかった。新しいモンテカルロ手法であるWang-Landau法を用いて、DAP境界条件のXY(クロック)モデルの精度の高い計算を行い、直接vortex densityを計算した。 3.モンテカルロ法の画像処理問題への応用 新しく取組んだ課題で、画像処理の問題、特に画像領域分割の問題にモンテカルロ法を応用した。従来モンテカルロ法を利用したシミュレーテッドアニーリング法は計算速度が速くなく必ずしも有効でないと考えられていた。しかし、ブロックスピン変換のアイディア、境界のみ効率よく更新する手法などを応用することにより、大幅に計算時間の高速化をはかることができた。
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