2008 Fiscal Year Annual Research Report
モンテカルロ法による複雑なスピン系の動的・静的臨界現象の研究
Project/Area Number |
18540379
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
岡部 豊 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 教授 (60125515)
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Keywords | モンテカルロ法 / 双対性 / ポッツモデル / 希釈系 / 画像処理 / 周辺尤度関数 / Wang-Landau法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、新しいモンテカルロアルゴリズムを用いて、これまで困難とされてきたランダム系、フラストレート系、非平衡定常状態転移などの問題に取り組むと共に、さらに有効なモンテカルロアルゴリズムを開発することにある。本年度の主な研究成果を示す。 1.希釈ボンドポッツモデルと双対性昨年度は、2次元希釈Villain型クロックモデルの相転移に関して、大関が提唱した、双対性をもつランダム系の転移温度に関する展開理論との比較検討を行うために数値計算を行った。本年度は、2次元希釈ポッツモデルについて精度の高いモンテカルロ計算を実行して、大関理論の妥当性を議論した。その結果、展開の次数を上げると、数値データに近づくことが確かめられた。 2.モンテカルロ法の画像処理問題への応用昨年度はこのテーマの問題として、画像領域分割にとりくんだ。本年度は画像修復問題をとりあげた。ベイズ統計に基づき、確率的に原画像を推定するが、その際に、周辺尤度関数とよばれる関数を最大化することにより、最も確からしい推定量(最尤推定量)を求める。モデルを定めると周辺尤度関数を最大化するパラメータ(ハイパーパラメータとよぶ)を決定することになるが、そのために、周辺尤度関数をハイパーパラメータ空間で直接計算する手法を提案した。その際に、エネルギー状態密度を計算するWang-Landau法とよばれる方法を用いた。周辺尤度関数のハイパーパラメータ依存性を大域的に求めることが可能にし、同じ画像について反復アルゴリズムによる結果と比較し、その性能について議論した。
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