2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540389
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
新田 英雄 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 教授 (50198529)
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Keywords | 強電磁場 / 放射 / 対生成 / 相対論的粒子 |
Research Abstract |
結晶軸に平行に入射した相対論的イオンの静止系では,結晶場は周期的パルス状のコヒーレント仮想光子となりいわば「仮想X線レーザー光」とみなせることになる。その電場は,臨界電場以上の値に相当する。そこで,電子が結晶場内を進行する相対論的イオンの内殻軌道に生成される束縛状態対生成の理論を構築した。これは,強電場QEDの検証として重要なだけでなく,エキゾティック原子や反水素の生成に応用できる。陽電子の終状態に平面波,電子の終状態に相対論的水素様波動関数を用いた計算を行う。得られた結果を,近未来型X線レーザーを仮定したMullerらの理論と比較したところ,イオンを同条件で入射した場合十分現実的な膜厚の結晶で同等以上の対生成確率が得られることが分かった。 次に相対論的な電子が,結晶の軸ポテンシャルが形成する電場(1012[V/cm]程度)に入射するという条件で,誘導型の対生成を波束を用いて研究した。これは,電子の進行方向における静止系から見れば,Kleinパラドックスと等価な状況となる。は100GeV程度の電子で実現するので,CERNにおいては実験可能である。本研究では,KIeinパラドックス型対生成の基礎を調べるために,相対論的な波束の運動を数値的に計算した。特に,強場中の対生成としてのUnruh効果が結晶中でも見られるかが実験研究者の興味をひいているが,Unruh効果による対生成を波束で調べた。結晶中での電子の運動と比較するための研究を引き続き行う予定である。また,電子波束の運動の基礎研究としてNelsonの確率過程量子化法を用いた波束の計算を行った。
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Research Products
(3 results)