2006 Fiscal Year Annual Research Report
長大活断層帯の連動起震モデルの構築と地震動予測地図への確率論的応用手法の検討
Project/Area Number |
18540423
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
隈元 崇 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (60285096)
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Keywords | 震源断層の成熟度 / GR式のパラメータ / Z値 / 楕円断層モデル / Gutenberg-Richterの関係 |
Research Abstract |
初年度の研究として,まず,1995年以降日本の内陸地殻内で発生した8つの被害地震について,本震前の地震活動の時間変化を複数の統計指標から比較して,発生時期や規模の予測に利用可能な定量的特性が存在するか否かを検討した.さらに,これら8つの地震を発生させた震源断層の成熟度を地表の活断層分布形態や地震時の地表変位の出現の程度により,(1)活断層に沿って顕著な地表変位が出現した成熟度の高い兵庫県南部地震,(2)震源域に活構造が事前に認識されていたが規模に見合った地表変位の出現しなかった成熟途上にある岩手雫石地震・鳥取県西部地震・宮城県北部地震・新潟県中越地震,(3)活断層分布も地表変位の出現も顕著でない未成熟な地域で発生した鹿児島県北西地震・山口県北部地震に区分して,本震前の地震活動の時間変化と断層の成熟度の関連を検出できるかを検討した.その結果,GR式のパラメータ(b値,a値)の時間変化と地震活動の時間変化を示すZ値としてAS-functionとLTA-functionにおいて,活断層の長さや分布密度,連続性などの分布形態から想定される地下の震源断層の成熟の程度と地震数の時間変化やGR式のパラメータの時間変化には活断層の成熟度に関連した定性的な差異が見られた. また,連動性を議論する際の短い長さの活断層の取り扱いについて,地震発生層の厚さが震源断層の幅を制約する条件下で震源断層の形状を従来の矩形から楕円形とすることで,地表地震断層長から合理的に震源断層長を推定することを可能とする楕円断層モデルを考案し統計解析を行った結果,従来のモデルでは観測地震の平均発生頻度と活断層長より算出した平均発生頻度の間にはマグニチュードが6〜7付近で不連続が見られたが,楕円断層モデルの場合には直線性が維持され,Gutenberg-Richterの関係がより明瞭に示された.
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