2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18540431
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 正明 The University of Tokyo, 気候システム研究センター, 教授 (70188051)
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Keywords | 火星大気 / ダスト巻き上げスキーム / 火星大気大循環モデル / ダストストーム / 半年周期振動 / 大気潮汐波 |
Research Abstract |
ダスト巻き上げスキームを火星大気大循環モデルに導入して、ダストストームの数値実験をおこなった。今回の実験で用いたモデルの格子点数は東西64点、南北32点、鉛直方向30点、水平方向の格子間隔は約333km、モデル最上層の高度は約80kmである。Mars Gloval Surveyorで得られたMY24の観測結果を初期条件として与えた。南半球の夏至付近でダストの強い巻き上げが見られた。これは過去の観測で分かっているダストストームの発生時期と一致する。地表から大気中へ巻き上げられたダストは2火星日程度で高度約80km(0.OlhPa)にまで達した。30S付近でダストの巻き上げが盛んに見られた。特に0-90Eの山岳地帯の斜面南側では地表面風速が30m/secと非常に大きい値となっており、ダストの巻き上げが顕著である。一方で過去にダストストームが発生したヘラス盆地(南半球120W付近)での強いダストの巻き上げは見られなかった。0.1hPa高度付近で約190K(90S-60N}、地表面付近の温度も60Sで235K程度となっている。これらの結果は、2001年の全球ダストストーム(発生は南半球春分}と比べると5-10K程低い値となっているが,比較的現実的な結果が得られた。 火星大気の半年周期振動の研究もおこなった。大気潮汐の観測データの振幅を調べ、半年振動していることを、初めて観測的に実証した。さらにモデルを用いてその半年振動がどのような力学プロセスで作られているかを、詳細な波動の解析をおこない、大気潮汐波の重要性を指摘した。この結果は地球大気の半年振動のメカニズムとは大きく異なる。
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Research Products
(7 results)