2006 Fiscal Year Annual Research Report
夏季モンスーンのオンセットの変動機構と予測可能性に関する研究
Project/Area Number |
18540432
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
川村 隆一 富山大学, 理工学研究部(理学), 教授 (30303209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 宏昭 筑波大学, 生命環境科学研究科, 講師 (70344869)
松浦 知徳 独立行政法人防災科学技術研究所, 総合防災研究部門, 研究員 (10414400)
飯塚 聡 独立行政法入防災科学技術研究所, 総合防災研究部門, 研究員 (40414403)
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Keywords | モンスーン / オンセット / 大気海洋結合モデル / 大気海洋相互作用 / 大気陸面相互作用 / 植生改変 / 標高改変 |
Research Abstract |
大循環モデルにおいて山岳標高改変実験を実施し,南米大陸の大規模山岳が南米モンスーンや南大西洋収束帯(SACZ)の形成等にどのような役割を果たしているのかを調査した.その結果,大規模山岳の存在は,モンスーンの降雨帯を高緯度側ヘシフトさせ,その移動に伴い対流圏下層ではアンデス山脈からブラジル高原南方にかけて広範囲にわたる低気圧性循環を生じさせる.一方で,対流圏上層ではアンデス山脈上で高気圧性循環,その東の南大西洋上で低気圧性循環,高気圧性循環の形成にも関与している.南大西洋上の順圧構造をもつ高気圧偏差とモンスーン域下層の低気圧偏差の共存が,下層の水蒸気収束を通してSACZの形成に寄与していると考えられる.アンデス山脈の存在が,周辺の積雲対流活動を活発化させることで対流圏上層に新たな熱源を生み出し,定在ロスビー波の伝播により,高気圧偏差が定常的に誘引された可能性があげられる. 一方,高解像度(T213)大気海洋結合モデルを用いたインドシナ半島の植生改変実験(樹林→麦畑)を行った結果,インドシナ半島では東部で降水量増加,西部で減少する東西非対称の分布がみられる.地表面気温の高温化に伴い地表面気圧も低下し,ベンガル湾からインドシナ半島にかけてモンスーン西風が強まる一方,南シナ海上では海陰間で,東西気圧傾度が大きくなり南風成分が強化される.両者による下層の水蒸気収束と森林伐採による地表面粗度の減少が降水量の東西非対称偏差の一因であると考えられる.海上風速の変化はSSTにも変化を及ぼし,ベンガル湾南部と南シナ海の沿岸域でSSTの低下が生じている.ベンガル湾南部からマレー半島にかけては主に蒸発冷却,南シナ海沿岸域は主に沿岸湧昇の活発化がSSTの低下に寄与している.海面からの蒸発量増加に伴う水蒸気輸送により,半島東部での水蒸気収束をさらに促進していると考えられる.
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Research Products
(7 results)