2007 Fiscal Year Annual Research Report
海洋大循環における小規模擾乱の熱輸送・塩分輸送に果たす役割に関する数値的研究
Project/Area Number |
18540436
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
平原 幹俊 Japan, Meteorological Research Institute, 海洋研究部, 主任研究官 (70354545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石崎 廣 気象庁気象研究所, 海洋研究部, 部長 (60354544)
山中 吾郎 気象庁気象研究所, 海洋研究部, 主任研究官 (60442745)
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Keywords | 海洋モデル / 小規模擾乱 / 拡散パラメタリゼーション |
Research Abstract |
中規模渦を解像する海洋大循環モデル(真渦モデル;格子間隔<10km)の結果と、準渦モデル(〜20km)の結果を詳細に比較し、準渦モデルの再現性能が真渦モデルよりも低い原因を調べた。また、乱流拡散スキームの枠組を使ってサブグリッド輸送をパラメタ化する手法を開発し、準渦モデルに実装してその有効性を検証した。 北太平洋のシミュレーション結果を比較したところ、真渦モデルでは準渦モデルよりも黒潮続域の再現性が向上し、亜熱帯モード水や亜熱帯反流など、北太平洋表層の平均場における海盆スケールの海洋構造・流動場がより現実的に再現されていた。 北太平洋中層での塩分極小の再現性が、準渦モデルに比べ真渦モデルて非常によい。その理由は、多くのフィラメント状の小規模擾乱の存在にり低温低塩の親潮水と高温高塩の黒潮水との混合か大きいためと考えられる。塩分極小の形成域てある日本東方の混合水域で、等密度面で区切った層内での層厚渦輸送、及び水温・塩分の等密度面拡散係数を比較し、基本場に及ぼす渦の効果を評価した。準渦モデルでは全般に係数の絶対値が小さい。真渦モデルでは等密度面拡散係数か層厚拡散係数よりも卓越するが、準渦モデルては同程度である。準渦モデルで塩分極小を十分表現できない主な理由は、中層において等密度面混合が非常に弱いことによる。 真渦モデルの格子点値を準渦格子スケール空間平均とそれからの偏差に分けることによって、準渦格子にとってのサブグリッド輸送を拡散形式でパラメタ化てきる。層厚の輸送についてはそのままモデルに実装することが可能であること、非等方粘性スキームか運動量のサブグリッド輸送と矛盾しないことを確認した。これらのスキームを準渦モデルに実装すると、従来の倍調和型スキームを用いた結果に比べて等密度面混合が活発になり、真渦モデルの結果に近づくことをしめした。
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