2008 Fiscal Year Annual Research Report
同化技術を用いた初期状態制御による黒潮大蛇行の形成・解消条件の定量的評価
Project/Area Number |
18540438
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
辻野 博之 Japan, Meteorological Research Institute, 海洋研究部, 主任研究官 (50343893)
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Keywords | 黒潮 / 海洋データ同化 / 大蛇行 / 傾圧不安定 / 感度実験 / 中規模渦 |
Research Abstract |
2004年7月に現実に発生した日本南岸の黒潮大蛇行は2005年8月に消滅した。この遷移機構について、同化実験及び予測実験を行い、再現されている事を確認した。 同化結果から、実際に蛇行が消滅したと考えられていた2005年8月よりも半年程度前の2月頃に伊豆海嶺付近で顕著な流路遷移が起こっており、これが後の大蛇行の消滅に寄与していることが分かった。また、この流路遷移には、上流から黒潮上を伝播してきた小規模な擾乱が寄与していることが示唆された。 次に、予測実験結果を用いて流路遷移前後での渦度バランス調べた。大蛇行流路が安定して存在していた期間は、黒潮による東向きの移流効果と蛇行の形状を西へ動かす惑星ベーダ効果がバランスしており、加えて、伊豆海嶺付近では海底地形の効果も流路の安定化に寄与していた。上記の黒潮上を伝播してきた擾乱は、蛇行に比べて空間スケールが小さいため、移流項に大きなシグナルとして現れた。この移流項のシグナルにより、それまでの力学バランスが崩れ、流路遷移が引き起こされたことが分かった。 この2005年2月頃の伊豆海嶺付近における流路遷移に伴い、日本南岸において顕著な水位低下がもたらされたことが沿岸潮位データから明らかになった。また、この水位低下は、同化実験結果においても良好に再現されていた。同化結果から、この水位低下は、伊豆海嶺における流路遷移により生じた沿岸補足波によりもたらされたことが示唆された。
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Research Products
(6 results)