2006 Fiscal Year Annual Research Report
二次イオン質量分析法によるホウ素同位体比測定法の開発とその物質循環研究への応用
Project/Area Number |
18540481
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
天川 裕史 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (60260519)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高畑 直人 東京大学, 海洋研究所, 助手 (90345059)
|
Keywords | ホウ素 / 同位体比 / SIMS / NTIMS / 標準試料 / NIST951 |
Research Abstract |
本年度は二次イオン質量分析法(SIMS)による分析の基礎的な実験として、標準試料の負イオン表面電離質量分析法(NTIMS)による標準試料の測定を行い、SIMSのデータとの比較を行った。 用いた標準試料はホウ素標準試料NIST(National Institute of Standards and Technology)951である。レニウムのフィラメントにNIST951約1μgをバリウムと一緒に塗布し、表面電離質量分析計MAT262を用い、NTIMSによる測定を行った。その結果、NIST951の^<11>B/^<10>B比は4.0310±0.0048(n=3)となった。この値は、NTIMSによる報告値4.0014±0.0027(n=10、Hemming and Hanson(1994))より高く、正イオン表面電離質量分析法(PTIMS)による報告値4.0506±0.008(n=9、Xiao et al.(2007))に比べ低くなっている。この違いに関しては、測定手法に依存した分別の相違や使用した質量分析計による相違に起因しているものと考えられる。 SIMSによる分析はNIST 951約1μgをシリコンウェハ上で蒸発乾固したものを東京大学海洋研究所に設置されているNanoSIMSを用い測定を行った。その結果、NIST951の値は3.7110±0.0284(n=3)となり、NTIMSの値に比べ明らかに低い値となった。蒸発乾固の際に顕著な分別が生じた場合、^<10>Bが^<11>Bに比べ優先的に蒸発することで同位体比は高くなることが考えられる。しかし、実際の測定値はNTIMSの値に比べむしろ低くなっていることから、SIMSの測定時に大きな分別が生じていることを示している。従って、この分別を抑えることが信頼のおけるホウ素同位体比測定を行う鍵となる。
|
Research Products
(1 results)