2007 Fiscal Year Annual Research Report
二次イオン質量分析法によるホウ素同位体比測定法の開発とその物質循環研究への応用
Project/Area Number |
18540481
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
天川 裕史 The University of Tokyo, 海洋研究所, 准教授 (60260519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高畑 直人 東京大学, 海洋研究所, 助教 (90345059)
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Keywords | ホウ素 / 同位体比 / SIMS / 標準試料 / NIST951 / 大気 / 温泉水 |
Research Abstract |
今年度は研究観測船淡青丸KT-07-27次航海(清水-東京)に参加し、洋上の大気試料の採取を行った。そして、二次イオン質量分析計(SIMS)による分析手法の基礎的な検討を行い、標準試料と併せ幾つかの実試料(温泉水、大気の凝縮水)の分析を行った。 大気試料中のホウ素の採取はコールドトラップを用い行った(冷却剤はエタノールとドライアイスを混合したもの)。大気試料をポンプで吸引すると、コールドトラップに凍った凝縮水と共にホウ素が捕獲される。2,3時間大気を吸引した後、コールドトラップから冷却剤を外し、しばらく室温で放置する。そして凝縮水が溶解してから、テフロンジャーにこれを移し冷蔵庫で保存した。同様の手法で東京大学海洋研究所の近辺でも大気試料の採取を行った。 SIMS(NanoSIMS)の測定にはシリコンウェハー上で試料溶液を赤外線ランプで乾固したものを供した。その際、従来は測定試料中のホウ素の散逸を防ぐため、ホウ素を除去した海水の添加を行う手法が推奨されてきた。しかし、NanoSIMSによる分析では、海水を添加するとホウ素のビーム強度はむしろ何も添加しない場合に比べ著しく弱くなり、この手法は必ずしも有効ではないことが示された。何も添加せず単に乾固した標準試料(NIST951)10ngは1‰の精度、そして海水(ホウ素量で約10ng)、温泉水に関しても1‰から2‰の精度でのデータを得ることができた。さらに、東京大学海洋研究所の近辺で採取した大気試料(大気量にして約0.3m^3)でも2‰から3‰の精度での測定が可能であった。これはNanoSIMSは大気試料の測定に十分対応可能であることを示している。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Ultra-sensitive detection of p-process nuclide^ <146>Sm produced by (γ,n),(p,pnε) and (n,2n)reactions2008
Author(s)
Kinoshita N., Hashimoto, T. Nakanishi, A. Yokoyama, H, Amakawa, . T. Mitsugashira T. Ohtsuki, N, Takahashi. I. Ahmad, J.P. Greene, D.J. Henderson, C.L. Jiang, M. Notani, R.C. Pardo, N. Puel, K.E. Rehm, R. Scott, R. Vondmsek, L. Jisonna, P. Collon, D. Robetson,,X D. Tang, Y, Kashiv, H,Nassar and M.Paul
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Journal Title
Journal of Physics-G: Nuclear and Particle Physics Sciences 35
Pages: doi:10.1088/0954-3899/35/1/014033
Peer Reviewed
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[Journal Article] Technological development for half-life measurement of^< 146>Sm nucide2007
Author(s)
Kinoshita N., T. Hashimoto, T. Nakanishi, A. Yokoyama, H, Amakawa T. Mitsロgasira T. Ohtsuki, N. Takahashi, I. Ahmad, J. P. Greene, D. J. Henderson C.L. Jiang, M. Notani, R.C. Pardo, N. Patel, K.E. Rehm, R. Scott, R. Vondrasek, L. Jisonna, P.Collon, D. Robertson, C.Schmitt, X.D. Tang, Y,KashivandM.Paul
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Journal Title
Journal of Nuclear and Radiochemical Sciences 8
Pages: doi:10.1029/2007GLO29903
Peer Reviewed
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