2007 Fiscal Year Annual Research Report
粒子エネルギー制御型新規マグネトロンプラズマ源の開発
Project/Area Number |
18540489
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
豊田 浩孝 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授 (70207653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石島 達夫 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00324450)
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Keywords | マグネトロンスパッタ / 高エネルギー粒子 / 質量分析 / 多層膜 / 平坦膜 / ダメージフリー |
Research Abstract |
マグネトロンプラズマは、光学多層膜形成、磁性体薄膜形成、半導体製造における配線プロセスなど、さまざまな分野に用いられている。近年の薄膜形成の高精度化にともない、ナノレベルでの薄膜平坦性、多層膜の界面制御など、さまざまな要求が高まっている。例えば、磁気異方性を示すPt/Coなどの磁性多層膜においては、界面の平坦性や界面における原子のミキシングの抑制などが、膜の磁気特性に大きな影響を及ぼすことが知られている。しかしながら、スパッタによる多層膜形成においては、ナノレベルの界面制御は非常に難しく、その原因の解明と解決が課題となっている。 このような界面制御において、本研究代表者らは、スパッタプラズマ中の希ガス高エネルギー粒子に着目し、質量分析法を用いた高エネルギー希ガス粒子計測手法を確立するとともに、高エネルギー粒子を制御する方法について研究をおこなった。 本年度は、我々が考案した円筒型マグネトロンスパッタ源について高エネルギーAr^+の測定をおこなった。その結果、本装置は、従来マグネトロン源に対して高エネルギーAr^+フラックスを約1/10程度まで抑制できることが確認された。この結果は高エネルギーAr原子フラックスも1桁程度抑制できていることを示している。さらに、スパッタ表面および気相衝突を組み合わせたシミュレーションにより、今回の測定結果の妥当性も確認された。最後に、昨年度開発したVHF-DC重畳型マグネトロンプラズマ源を用いて極薄磁性多層膜のスパッタ製膜をおこなった。その結果、数nmの極薄層を数10層重ねた磁性膜においても良好な磁気特性が発生することを確認した。このことは高エネルギーAr原子の抑制により、各層界面における原子ミキシングの抑制がおこなわれたものによると考えられる。
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