2006 Fiscal Year Annual Research Report
二重群論の新しい理論的手法を用いた励起三重項スピン状態の解明
Project/Area Number |
18550021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita International University |
Principal Investigator |
安積 徹 国際教養大学, 国際教養学部, 教授 (90013490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 陽一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30004500)
喜多村 昇 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50134838)
山内 清語 東北大学, 多元物質研究所, 教授 (10127152)
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Keywords | モリブデン / レニウム / 金属錯体 / クラスター / 三重項状態 / スピン副準位 / 二重群論 / Gaussian 03 |
Research Abstract |
(1)以前、安積は、本研究の共同研究者である佐々木教授と共同で、モリブデンの六核錯体の三重項状態からの燐光を観測・解析し、発光は、三重項状態がスピン軌道相互作用で分裂した3つのスピン副準位からの発光の重ね合わせによるものと解釈した。その後、モリブデンをレニウムに変えただけのレニウム錯体について、外国の研究者によって研究されたが、解釈は、以前のモリブデン錯体の場合とまったく異なっていた。 本研究の目的は、1)モリブデンとレニウムとで発光の機構が異なる理由があるのかどうかを理論的に吟味する。2)その上で、モリブデン6核錯体とレニウム6核錯体を統一的に解釈することができる理論を構築することである。 二重群論に基づいた分子軌道の理論を再検討したところ、モリブデン6核錯体とレニウム6核錯体とは、すべての点で同一であり、発光の機構が異ならなければならない理由はないことが明らかとなった。そこで、北大の喜多村教授と佐々木教授によってなされた、レニウム6核錯体の温度およびスペクトル分布の温度変化の実験データを再吟味した。その結果、レニウム錯体の場合も、モリブデン錯体と同様、3つのスピン副準位からの発光の重なりとして満足に解釈できることが結論された。現在、喜多村教授のもとで、モリブデン錯体についてのより詳細な研究がなされており、その実験を待って、総合的なまとめの論文を執筆する予定である。 (2)ロジウムの錯体の光ルミネッセンスおよび光化学について、ワシントン大学のCrosby教授とConcordia大学のKenney教授との共同研究を行っている。一連のメチル置換フェナントロリンがロジウムに配意した錯体において、三重項状態のエネルギーと光化学反応の活性化エネルギーとの間にすぐれた相関関係があることが実験的に明らかになった。この実験をGaussian 03を用いた密度汎関数理論を用いて解析を行っている。
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Research Products
(2 results)