2008 Fiscal Year Annual Research Report
ワイドレンジ2色可変SFG分光装置の開発と極限界面計測技術への展開
Project/Area Number |
18550025
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
宮前 孝行 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ナノテクノロジー研究部門, 研究員 (80358134)
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Keywords | 和周波発生 / 表面・界面 / レーザー分光 / カーボンナノチューブ / 有機EL |
Research Abstract |
本年度はSFG計測装置に使用する励起用可視光の光源として使用している、光パラメトリック発振/増幅装置の発振効率を向上させるため、LBO結晶の交換を行った。これによりこれまでの波長可変領域をさらに伸張させ、2倍波発生装置を使用して紫外領域まで励起光を伸張させることが可能になった。このSFG測定装置を用いて、金属基板上の単層カーボンナノチューブの2色可変SFGスペクトルの測定に成功した。単層カーボンナノチューブ/金属界面における界面電荷移動作用によりG-バンドの構造がSFGで観測できることを明らかにし、さらに2色可変SFGにより、SFGで観測されているG-バンドがナノチューブの光学遷移から半導体ナノチューブの吸収帯と共鳴していることを突き止めた。この成果は国内、国際会議において発表を行った。 また有機EL素子において、主に電子輸送層に用いられるtris-(8-hydroxyquinoline)aluminum(Alq_3)と金属との界面について、2色可変SFGの測定を行った。Alq3の第一吸収帯は390nm付近に極大が存在するがSFGの波長をこの吸収帯に合わせることで明瞭な2重共鳴効果を確認できた。金属の種類を変えると、この共鳴条件が変化することを確認できた。さらに埋もれた界面の測定として、Alq3上に金属膜を蒸着した状態で2色可変SFGの測定に成功した。Al/Alq3界面のSFGスペクトルはAlq3/Alの場合とは大きく異なっており、界面での相互作用の存在を強く示唆している。またAlとAlq3の間にLiFを挿入した試料においてはそれまでのスペクトルには見られなかった新たなピークが観測されており、Liドープ、もしくはAlq3の酸素や窒素原子とLiとの相互作用の存在を強く示唆している。この成果については国内の学会において成果発表を行った。
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