2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ空間制御された新規スピンクロスオーバー相の創成
Project/Area Number |
18550055
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川田 知 Osaka University, 大学院・理学研究科, 准教授 (10211864)
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Keywords | スピンクロスオーバー / 多孔性 / 長鎖アルキル鎖 |
Research Abstract |
遷移金属錯体を基本単位とするナノ構造体の合理的な設計指針の確立と、それを用いた新しい相互作用系の創成を目的に、一連の新規ナノ構造体を合成し、さらに磁気、光学的測定を行った。特に、スピンクロスオーバーを示すナノ構造体の物性測定には、構造体間の相互作用が少ない化合物系を構築する必要があり、結晶のパッキングを支配する分子間相互作用(水素結合、スタッキング)を制御する配位子と溶媒の選択が重要になる。そこで以上のことをふまえて、以下の合成法を検討した。 (1)多彩なコンフォメーションを取るかさ高い連結配位子、例えば、ヒンジ構造を持つ連結配位子で構造制御された一次元鎖、クラスターを、鉄(II)イオンを中心金属イオンとし試行錯誤的に合成した。ヒンジ様の配位子は二つの基本骨格を結ぶ単結合に自由度があることから様々な集積形態が存在する。その集積形態を様々な金属を用い、種々の条件下で合成し、合理的な合成条件を検討した。 (2)剛直な配位子を用い二核スピンクロスオーバー金属錯体ユニットを合成し、それを新たに連結配位子(ビピリジン、ピラジン等)を導入することでクラスターあるいは一次元状のナノ構造体を構築した。また、長鎖アルキル鎖を持つピリジン誘導体を新たに合成し、それを軸配位子とすることで、二核スピンクロスオーバー金属錯体ユニットが分散し、構造体間の相互作用が少ない化合物系を構築した。 (3)(1)、(2)で合成した構造体をビルディングユニットとした多孔性金属錯体集積体を合成し、スピンクロスオーバーに対するゲストの吸脱着の影響を検討した。 以上、3つのアプローチによりシンプルな同一のビルディングブロックより合理的に様々な構造体を構築し、その磁気的挙動を検討した。
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