2006 Fiscal Year Annual Research Report
熱的に安定な2価ジルコノセン前駆体の合成と反応性に関する研究
Project/Area Number |
18550089
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 保 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (30163273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 正道 北海道大学, 触媒化学研究センター, 助教授 (70301231)
菅野 研一郎 北海道大学, 触媒化学研究センター, 助手 (20360951)
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Keywords | ジルコニウム / 2価錯体 / メタロセン / ジルコナサイクル / 安定 |
Research Abstract |
トリス(インデニル)ヒドリドジルコニウムと、様々なアルキン類との反応を検討し、2価ジルコノセン等価体としての反応性を評価した。トリス(インデニル)ヒドリドジルコニウム錯体と3-ヘキシンとをトルエン中混合すると、室温で速やかに反応が進行し、対応するジルコナシクロペンタジエンが良好な収率で生成することが分かった。このほかにも、4-オクチン、トリメチルシリル-1-ヘキシン、3,5-オクタジイン、4,10-テトラデカジインを用いても対応するジルコナサイクルを与え、これらを酸加水分解することで、対応するブタジエン誘導体を80%以上の高収率で、得ることができた。また、種々のジアリールアルキンを用いても同様に反応が進行し、フェニル、p-トリル、p-メトキシフェニル、および2-チエニル基を有するアルキンに適用可能であった。このようにして得られたジルコナシクロペンタジエンのうち、p-トリル基を有する誘導体についてX線結晶構造解析を行い、その構造が正しいことを確認した。また、このようにして調製したジルコナシクロペンタジエンに対し、塩化銅およびアセチレンジカルボン酸ジメチルを作用させると環化付加反応が起こり、対応するフタル酸エステル誘導体を与えた。このことから、これらインデニルジルコナサイクルは、通常のシクロペンタジエニル基を有するジルコナサイクルと同等の反応性を有しており、種々の有機合成反応に適用可能であることが明らかとなった。 興味深いことに、この反応を末端のアリールアルキンに対して適用すると、高選択的に2,5-ジアリールジルコナサイクルが生成することが明らかとなった。この高い選択性は、従来法では見られないものであり、トリス(インデニル)ジルコニウム錯体に特徴的な反応である。
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