Research Abstract |
深紫外域用の受発光デバイスにおいて,高AlNモル分率で,転位密度が低いAlGaN膜が必要である.本研究では,連続な斜面凹凸のあるエピタキシャルAlN基板を研磨して作製したAlNを下地として用いて,減圧MOVPE法によりAlGaNの成長を行った.主な成長条件は,圧力50Torr,成長温度1180℃,V/III比1803,気相中のTMAのIII族原料モル分率{TMA/(TMG)+(TMA)}は0.23とした.成長膜の評価としてはSEM,AFMによる表面観察,X線回折測定による結晶性の評価,またTEMによる転位の評価を行った.得られたAlGaNはクラックフリーで,AFM像から表面で明瞭な原子ステップを確認することができた.表面粗さRmsは20μm×20μmで8.4nmとなり,凹凸AlN基板を下地として用いた AlGaN(Rms=12.4nm)よりも平坦性は改善された.また,研磨AlN基板をアニールすることにより,Rmsは6.3nmと更に向上した.TEM観察により,研磨AlN基板上に成長させたAlNから新たな転位が発生しており,それがAlGaNに貫通しているのがわかる.研磨AlN基板上部において,全面に黒色の部分が広がっており,凹凸を研磨した際にAlN表面に研磨によるダメージ層が発生したものと思われる.そのダメージ層の影響により,研磨AlN基板上のAlNから新たな転位が発生し,AlGaNまで転位が貫通したために,AlGaN全面において転位密度が高くなったと考えられる. 今後の課題として,界面から新たに発生する転位を抑制するため,研磨AlN基板の表面欠陥制御が挙げられる.
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