2006 Fiscal Year Annual Research Report
輸送ネットワークのトポロジー変動と交通渋滞形成過程
Project/Area Number |
18560053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西成 活裕 東京大学, 大学院工学系研究科, 助教授 (40272083)
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Keywords | セルオートマトン / 交通流 / ネットワーク / 渋滞 |
Research Abstract |
確率セルオートマトンを用いて高速道路での交通流のモデルを構築した。これはこれまでの成果の集大成であり、様々な交通流モデルを含む統一的なモデルが完成した。またそのモデルの挙動を平均場近似、あるいは多クラスター近似を用いて理論的に調べた。その結果、渋滞が起こる臨界密度付近で、確率変動があっても準安定な状態が生じることが分かり、車の渋滞相転移の詳細な特徴を明らかにした。 また車の流れを考えるヒントとして、蟻の行進についての解析も行なった。蟻はフェロモンによる化学走性を利用した交通であるが、これを車に応用すると、臨界密度付近で流量が上昇するという知見が得られた。このようなアイディアはこれまで考えられたことはなく、今後の応用を展開していきたい。 そしてネットワーク構造を持つ道路についての基礎研究をさまざまな方面から行った。まず、実際のデータの取得に成功した。これは首都高速道路のデータで、特に渋滞や事故が激しい織り込み部を持つジャンクションについて精密な統計解析を行なった。その結果、理論モデルで予言された準安定な状態がはっきりと確認でき、提案したモデルの有用性が明らかになった。次に織り込み合流部での流れのシミュレーションを行い、様々な条件下での合流による流量低下を見積もることに成功した。これによれば、合流部ですぐに合流すると自由走行時の流量の約半分まで落ち込むことが分かった。そのため、合流を遅らせる方策として、車線変更禁止線を延長して合流ポイントをもう少し下流側にずらすというアイディアを計算機により試した。これによれば、新しい合流部に車が達するまでに、2つの車線で車が交互配置になり、スムースな合流が可能になることが分かった。
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Research Products
(6 results)