2006 Fiscal Year Annual Research Report
トムズ効果による乱流摩擦抵抗低減の機構解明と予測に関する研究
Project/Area Number |
18560150
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
黒田 明慈 北海道大学, 大学院工学研究科, 助教授 (90202051)
|
Keywords | 乱流 / 抵抗低減 / 数値計算 / モデリング / 非ニュートン流体 / トムズ効果 |
Research Abstract |
水に微量の長鎖状高分子あるいは棒状ミセルを形成する界面活性剤を添加すると,乱流域での抵抗が著しく低減することはToms効果として知られている.著者らは微小なダンベル状要素で高分子を模擬したモデルを構築し,本モデルを用いて二次元チャネル内乱流のDNSを行い,Toms効果を再現した.また,この離散要素が縦渦減衰による抵抗低減機構と壁面近傍の付加応力による抵抗増加機構の2つの機構を内在していることを示した. 従来は、混入要素の濃度は流体中で一様に与えるか,特定の分布を仮定して与えていたが、後者の計算からは,混入要素が流れのどの領域に存在するかが抵抗の減少量に強くかかわっていることが分かっている.また,従来の実験でもポリマーを外層付近に混入するか、壁から混入するかによって抵抗低減現象の現れ方に差があることが報告されている.したがって,より実験に近い,あるいは実用的に予測精度のよいも出るとするためには,混入要素の濃度を移流拡散方程式にしたがって求めることが必要であると考えられる. 二次元チャネル内乱流を対象として,抵抗低減流れの直接数値計算を行った。混入要素は (1)流体中で一様に発生する (2)流体から受ける引張り力に応じた確率で切断消滅する ものとした.(2)の効果によって流体中で要素の濃度分布が生じるが、瞬時の要素濃度は移流拡散方程式を解くことによって求めた。 その結果、従来50%程度であった抵抗低減率が最大で66%となった。またこの場合に流れがほとんど層流化していることが確認された。
|