2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18560229
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
感本 広文 Toyohashi University of Technology, 工学部, 准教授 (20273328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 庄造 豊橋技術科学大学, 教授 (00204777)
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Keywords | 自動車 / 逆問題 / 車両衝突 / 事故再現 / ニューラルネットワーク |
Research Abstract |
車両の衝突事故では,初速度を持った2車両が衝突することにより各車両が速度の変化を受け,衝突終了(2車両が分離)時の速度でそれぞれ別の軌跡を描いて運動し,停止に至る。この一連の車両の衝突運動を,車両衝突から分離までの「衝突段階」と車両分離から停止までの「運動段階」に分けて考え,平成18年度は運動段階の再現を行った。そして平成19年度は衝突段階の再現を行った。すなわち平成18年度の再現値(車両速度)を車両分離時の車速として入力し,衝突段階の逆解析を行う事により衝突前の車両速度の再現を行った。衝突段階の逆解析で構築するニューラルネットワークに与える教師データは車両衝突前後の運動量一力積関係を基礎とする二次元剛体衝突理論によって求めた。そしてニューラルネットワークを構築し二車両の前面衝突の逆解析を行ったところ,良好な精度で衝突前の車両速度を再現する事ができた。ただし,衝突後の車両速度は衝突位置等の衝突形態によって大きく変化する場合があり,このような大きな変化を伴う部分の教師情報が欠落するとニューラルネットワークの汎化能力が低下し再現精度の悪化を招く。また,教師データを極度に詳細に与えると計算量が増大するだけでなく,ニューラルネットワークの汎化能力を鈍化させる結果となった。したがって,比較的単調な変化の部分は教師データを粗く与え,急激な変化の部分は細かく与えることによりニューラルネットワークの汎化能力を維持しつつ適当な計算量で再現精度の高い逆解析を行える事が分かった。本研究では教師データの作成にCarSimソフトならびに剛体衝突理論を採用したが,他の方法によっても本逆解析手法の枠組みはそのまま適用が可能であり,可能な範囲で現実的かつ信頼性の高い教師データを用いることが望ましい。本研究により車両衝突事故の逆解析に対する一つの枠組みが構築され,その有効性と実用上の注意点が示された。
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Research Products
(6 results)